2005年6月22日水曜日

感想:「著作権とは何か」

福井健策「著作権とは何か」(集英社新書)

このサイトには「ドロボー歌謡曲ふたたび」なんてコンテンツがあるんだけど、最初に注意書きがあるように、僕個人としては基本的にパクリとかに関しては割と寛容というか、「アーティストが作るものは過去にあったものとカブってはならない」ってな「オリジナル信仰」がない。
ゆえにこのサイトを読んで、「J-POPはこれだからダメなんだ」「あの好きな曲があれのパクリだったなんて……ショック」とか思われるのは、著作権心外(笑)だ。


パクリ、パロディ、引用、盗用、オマージュ、無断複製……。サブカルチャーを語る時にこんな言葉を使っているけど、僕らはどこまでその差が分かっているだろうか?どこまでが著作権侵害でどこまでがセーフか分かっているだろうか?
この本は入門の入門書だと著者は書いてるけど、そういうことが分かってなかった自分にとっては、ちょうどいいレベルだった。
まず驚きなのが、著作権のポリシーが、決して「オリジナリティ」を法で保護するということではなく、世の中に新しい作品を生みだしていくモチベーションを下げない、ということにある、ということ。たとえば自分の作品が他の人が自分のものだと言えることができてしまうと、新しい作品を出すのがバカバカしくなる。著作権法はそれを一番恐れる。でも決してクリエーターのエゴを守るものではないのだ。
また、アイディアは著作権ではない、というのも意外(特許にはなるかもだけど)。たとえばゲームのルールや遊びのフォーマットなどに著作権はない。
この他、分かっているつもりだったけど根本的に理解してなかったいろいろなことが、
「どこまでも行こう」「ウェストサイド物語」「ライオンキング」の各事件、保護期間(いわゆる「ミッキーマウス法」)延長問題など、身近な例を挙げながら解説してくれる。
著者が若い人だからか、話題にしていることがピンとくることばかりなのもいい。
それにしてもこの新書ブームの中、「著作権とは何か」って直球過ぎるタイトルはどうか。もっと手に取らせるタイトルはいくらでもあるでしょ。

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