2006年4月27日木曜日

「巨人と玩具」

ある本で、開高健の「巨人と玩具」という作品が今の食玩ブームを予見している、みたいなことが書かれていて興味を持っていたら、ちょうど映画版がCS「日本映画専門チャンネル」で放映されるというので、受信契約して視聴してみた(このチャンネルはなかなかよかったのでその後も継続契約)。

監督は増村保造で、若き日の川口浩が出ている。ストーリー的にも印象的なヒロイン・野添ひとみという人がこのあと川口浩と結婚したとは知らなかった。この映画ではややヘンテコなキャラクターだけどインパクトがあった。

内容的には確かにお菓子メーカーが争うけど、どちらかというと飼い慣らしたと思っていたヒロインに手を咬まれる、というプロットがメイン。

この後読んだ原作(開高健「巨人と玩具」(新潮文庫「パニック・裸の王様」所収))では、あまりヒロインのことは書かれておらず、3社の熾烈な懸賞争いがメイン。開高健とはいえ、あまりブンガクブンガクしてなくて、サラリーマン風刺小説といった趣き。

ところで川口浩といえば、先日偶然ではあったけど初めて例の探検隊の番組を見た。
いやぁ、やはり子供の頃に見てないと今はちょっと見れない。たとえギャグとして見るにしても、無理。


2006年4月23日日曜日

俺たちのメロディー

出先であるショップをふらっと物色してたら、店内でやたらとツボに入る選曲のCDがかかっていて、CD屋でもないのに思わず衝動買いしてしまった。
俺たちのメロディー 2
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シリーズ第一弾の方が有名な曲が多いんだけど、有名すぎてすべて音源が手元にあるものばかりだった。
俺たちのメロディー
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とくに手持ちのこのCDとかなり選曲がかぶってる。
ザ・テーマ 日本テレビドラマ主題歌集-70年代

しかし、この第二弾は、第二弾ゆえにややマイナーな曲も選ばれていてナイス。
僕のキラーチューンは
「西武警察のテーマ」(音源が手元になかった)
「ジーパン刑事のテーマ」(「太陽にほえろ!」のBGMはmp3データしか手元になかった)
「ザ・バーズ/ふり向くな君は美しい」(これなかなか収録されてないでしょ?もちろん、あのバーズじゃないよ)
「森田健作/さらば涙と言おう」(最近、無性に聴きたくなってた)
「クリエイション/ロンリー・ハート」(ボーカルがアイ高野、って初めて知った)
「嶋大輔/男の勲章」(ドーナツ盤はもってるけどCD音源は手元になかった)
他にもゴダイゴ、ルパン、中村雅俊、松崎しげる……とかのラインって、実は大昔に「おっさんロック」としてまとめたりしていて、というか、自分が1998年頃にはこの手の音楽趣味を持っていたことに驚いた。

そう、70年代の日本におけるフュージョン・AOR・ディスコといったアメリカ西海岸サウンドに影響を受けた音楽がかなり好きなのだ。たとえばトランザムも好きだし。だからこのコンピレーションがめざしたテーマっていうのが選者と語り合いたいぐらいにビビッとクるんである、分かるんである。

ぜいたくを言えば、「ルパン三世 愛のテーマ」は同じくルパンpart2エンディングの「Love Is Everything」あたりにしてほしかった。本当に何度も書くけど「Love Is Everything」の評価の低さはおかしい。

せっかくなんでいつか書こうと思っていた、「Love Is Everything」を歌っていた木村昇について触れておこう。
木村昇は「タリスマン」のボーカル、「ハーリー木村」「HARRY」などの名義で「ウルトラマン80」主題歌、「未来警察ウラシマン」主題歌「ミッドナイト・サブマリン」、「宇宙刑事ギャバン」挿入歌「輝く王者ドルギラン」などを歌っていた人だ。言われてみると、同じ人だと気づくと思う。いい声なのにアニソン以外ではマイナーなのが残念。

ついでに書くとこれまたアニソンでたびたび名前が出てくる「Mojo」は作曲家でもある富田伊知郎氏のことだそうな(大野雄二の著作「ルパン三世ジャズノート&DVD」による)。

どちらもかなり声のたたずまいに「70年代っぽい」感じがあって好きなんだが。
蛇足だけど、また別の「70年代っぽい」雰囲気をサントラ化したのが「砂原良徳/THE SOUND OF '70s」だと思う。

2006年4月21日金曜日

PROやらDUOやら

SONYのメモリスティックはPROやらDUOやらあって意味が分からない。
DUOが短くなったやつ、PROがブラックで容量が大きくなったやつ?その上に「PRO DUO ハイスピード」なんていう転送速度が高いものまであって、わざと混乱するように作ったのかとさえ思いたくなる。
wikipediaで調べてようやく分かった。

同じくSuicaもVIEWやらモバイルやら定期券はどうのこうのとかあって意味が分からない。
Suica - Wikipedia
結局、僕が持っているSuica定期はコンビニで使えるのか使えないのか?
あと、モバイルSuicaの定期って電池切れてたらダメなの?

2006年4月20日木曜日

ヤン富田の新譜

あのヤン富田が新譜を出すそうな!ドゥーピーズ2ndも7月予定!?(1stは1995年発売っすよ)
blogではけっこう取り上げられているようだけどおそらくそういう層と親和性が高いのか?これぞミーム。

ちょっと前に紹介した「サウンド&レコーディングマガジン」(2006/4号)にて、ヤン富田本人が2006年は「 まず本とCDが同時に出ます。ほかにも新人やビックリするようなタイトルも含まれています」と語っていたけど、本当だったとは。

とはいえ、ここのところのヤン富田関連作品はちょっとどうかなぁと思うものが多くて、買ってもすでに手元にないものが多い。

1998年「ミュージック・フォー・リビング・サウンド」
 大作だったけど、コンセプト偏重といった感じで、CD-ROMが一番面白かった。
1999年「パードン木村/Locals」
 プロデュース。あまり印象にない。
2000年再発「素晴らしい偶然を求めて」(「HEART-BEAT」と「ヤン富田コンサート」)
 ライブ音源はまぁまぁ面白かったけど、2枚組のもう1枚が単なる紙のディスクなのよ。コンセプトといわれてもなんかダマされた気分(といってたらヤンさんにはついていけないんだろうけど)

他にも雑誌「relax」で取り上げられれば買ったり、と気にはなるんだけど最近の仕事はやや期待はずれなことが多くて、今度の新作はどうなんだろうか。

でも今これを書きながら1st「MUSIC FOR ASTRO AGE」を聴いているけど、やっぱいいなぁ。
あ、もしかするとスティールパンが入ってないとダメなのかも(一番好きなアルバムは「ASTRO AGE STEEL ORCHESTRA/HAPPY LIVING」だし)。


2006年4月19日水曜日

本城直季/small planet

以前から大好きだった写真家・本城直季氏の初写真集が出ているのを知って
small planet
本城 直季
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即購入。
例の実景なのにミニチュアに見える写真を撮る人です。
〜5月12日(金)まで恵比寿のギャラリーにて展覧会が行われているそう。近いし、行きたい。

見たことない人はとりあえずこちらをどうぞ

もっと知りたくなったらインタビューはこちら

同じようなテクニックを使った動画もあります。synthereal

この写真の中に自分も写る可能性があることを考えると、ホントにくらくらする。精巧な模型を見た時もわりとくらくらするけど、その上で「え、実は本物!?」ともう一度くらくらして、それが無限ループする感じ。
また宝物が増えてしまったよ。


2006年4月18日火曜日

スタバサイト

スターバックスがコンビニ用商品を出した時に、2種類あったはずなのに今は1種類しかないのはなんでだろ、と思ってたけど、先日たまたま店頭に宣伝用ポストカードがあったのを見ると

「もういちど、こんにちは。エスプレッソ!」

とあり、どうやら復活のよう。サイトはこちらをどうぞ
一応以前のプレスリリースでは生産が追いつかないから一時販売中止したとあったけど、真相はどうなんだろう。

ちなみにこれらの商品は、あんまりおいしくないと思う。
もっともこの手の飲み物はどれもイマイチなんで安けりゃいいかという感じなんだけど、スタバのはブランド料が入ってるのでけっこう高い。


2006年4月17日月曜日

岩井俊雄&ロカちゃん展『いわいさんちへようこそ!』

読書紹介で取り上げた「いわいさんちへようこそ!」に関連した展覧会があるというので家族3人で行ってきました。

■4月15日(土)〜29日(土)無休11:00am〜8:00pm(最終日のみ11:00am〜6:00pm)入場無料
岩井俊雄&ロカちゃん展『いわいさんちへようこそ!』
LAPNET SHIP(東京都渋谷区神宮前1-9-11-1F/03-5411-3330)


初日だからか岩井さん夫妻、しかも土曜日だからなのかロカちゃんまで来ていてビックリ。
会場は小ギャラリーといった大きさなんだけど、くだんの本に載っているお手製グッズがてんこもり。一部は実際に遊んでもOKで、うちの娘はよろこんで他の子供に交じって遊んでました(その中にはロカちゃんも)。

壁の一部は、岩井さんの子供の頃の写真やノート(これは以前別の展覧会で見たことがあった)もありました。こちらも面白い。

この流れで出版される「どっちがへん?」という絵本も発売されていて、買って岩井さんにサインをもらうのもよかったんだけど、どうも僕は自分が尊敬する人に話したりするのが思い入れ強すぎて苦手な性分(=ツンデレ←ちがう)なのでパス。残念。

でもうちの娘とロカちゃんの写真を撮らせてもらった!ロカちゃんは思ったよりもおっとりしてました。

子供がいないとちょっと行きにくいかもしれないけど、あの本を買った人なら行くべし(タダだし)!

2006年4月13日木曜日

2006年4月前半の読書

本の感想、つづき。

「常盤新平/遠いアメリカ」(講談社文庫・絶版)

昭和61年下記直木賞受賞作。
常盤新平は「アメリカの編集者たち」「アメリカン・マガジンの女たち」といったノンフィクションを古本で手に入れたたけど、どうもその文章が好きになれなくて読み終えたことがなかった。
この本は自伝的連作中編小説。図書館で借りたんだけど、青春小説としてはまぁまぁ面白かった(この手の小説が好きなので点は甘いかも)。
田舎出身の大学院生が勉学から離れつつ、アメリカへの憧れから翻訳者を志すのがメインプロットで、それに年下で役者志望のかわいらしいガールフレンドや、厳格だけど主人公を愛する昔気質の父親、田舎しかしらない母親……、などなど脇の人物もしっかり描かれている。

布袋寅泰「秘密」(幻冬舎)
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布袋寅泰の自伝!
最初に書いておくけど、僕は別に彼のファンではない。嫌いでもない。ただ、ギタリストとしてとても面白い人し才能もセンスもある人だとは思っている。

さて真っ先に気になるのは、前妻・山下久美子との離婚のいきさつ。彼女が以前同じ出版社から出した自伝はもちろん読了した。
でも布袋さんは言い訳してない。かっこええわ。

で、次がBOφWY結成と解散のいきさつ。これまた面白い。氷室は根本的なセンスがヤンキー系、布袋はニューウェーブ系で、そもそも嗜好が全然違うんだけど、それがうまく絡み合ってBOφWYが誕生したんだなぁ。布袋のセンスだけでは決して田舎の中学生には受けなかっただろうし。
また「道のハズし方」に一貫して変な美学があるのが彼らしいんだと思う。

最初は図書館で借りれるまでガマンしようと思ったけど、書店で立ち読みしてたら「帰って今すぐ読みてー」と買ってしまい一気に読んだ。プハー、おもしれー。

赤塚不二夫「ボクは落ちこぼれ」ポプラ社
実家の奥様の部屋にあって面白そうだから抜いてきた本。
後半のトキワ荘前後の話は大体知っているのでそれなりに面白かったけど、すごかったのが満州から引き上げてきて貧乏暮らしをせざるをえなかった少年時代の話。時にのぞく赤塚不二夫の残酷というかサーバイヴなテイストってのはこういう経験があったからなんじゃないだろうか。この辺、藤子不二雄2人や石ノ森章太郎は育ちがいいような気がする。ただ、たとえ赤塚のエピソードとしてではなくても、戦後日本の田舎がどんなふうだったかを伝える一つの声として価値のある本だと思った。

トキワ荘でのエピソードでは、石ノ森って赤塚に対してかなり面倒見てたイメージがあったけど、赤塚に言わせれば意外とそうではなく、食事は作らせて一所に食べさせるけどお金は貸さなかったとか。でもこれはきっと赤塚をアシスタント扱いにはしなかった石ノ森の赤塚に対する敬意とも読めるかもしれない。
もう一つ、水野英子が思い切りブサイク扱いされていて面白かった。年下の赤塚に「貴様!」と呼んだ、ってどこまで本当なんだろう(笑)。

ケストナー(池田 香代子訳)「点子ちゃんとアントン」岩波少年文庫
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ケストナーは半年ぐらい前に「飛ぶ教室」を読んだんだけど、なんかいまひとつで自分の中では発展しなかった。
ただ「点子ちゃんとアントン」は表紙や挿絵がかわいかったので、図書館で借りて読んでみた。

訳が新訳のせいか古くさくなくてすいすい読めた(って児童文学だから当たり前)。
点子ちゃんはお金持ちの一風変わった娘、貧乏なアントン少年とちょっとしたお話が展開される。さすがに70年以上も前の作品なので目新しさはないけど、それぞれのキャラクターは現代の目から見ても違和感なく描かれている。「飛ぶ教室」よりもそれぞれのキャラクターは立っていると思った。
近年、「飛ぶ教室」同様映画になっているので、機会があれば見てみたい。

人は見た目が9割
竹内 一郎
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ケーハクなタイトルで完全スルーしてたんだけど、「王様のブランチ」かなにかで紹介されているのをみると、どうも身体をインターフェイスとして捉えていろいろ論じている内容のようで、俄然興味が出て読んでみた。

なるほど、たとえば僕は「偉い人」って体が大きい方がなりやすい、と思っているんだけど、それはやはりその体の大きさが無言の圧力を生みがちだからだと思う(たとえケンカなんて絶対しないとしても)。
そのように人間というか生物は「見た目」からは完全に逃れられない、では逆にそれを現実社会やドラマにおいて有効に使うにはどうしたらいいか?ってのがテーマ。

著者は演劇の脚本・演出や漫画の原作を書いてる人のようで、演出論としてもなかなか勉強になる一冊だった。
ただタイトルはキャッチー過ぎてどうかと思う。

一九七二—「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」
坪内 祐三
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ずっとハードカバー版を借りてて半分ぐらいまで読んでたんだけど、文庫になったので買って、ようやく読み終えることができた。
いやぁ、やっぱり面白い。僕は1973年生まれなんだけど、その頃にいろんな出来事があってそれは戦後から現在においての一つの分岐点だった、というのがよく分かる。
前半の連合赤軍事件〜あさま山荘事件、中盤の日本におけるロックの受容のされ方、後半の「ぴあ」創刊に関して、どれも読んでいてシームレスに話がすすんでいき、ひきこまれる。資料のあたり方も丁寧で説得力あり。

2006年4月11日火曜日

2006年3月の読書

本の感想、まとめて。
引っ越しをはさんで更新できない間にたまってしまった。

まずこれは改めて別エントリーで取りあげるけど、

木原 善彦「UFOとポストモダン」(平凡社新書)

がメチャクチャ面白かった。いわゆるUFOにまつわる「トンデモ」都市伝説みたいなものが生まれる時代背景を真面目に・丁寧に・解き明かす本なんだけど、思わずUFOがマイブームになってしまって、映画「プロフェシー」とか観たり、次は「未知との遭遇」を借りてこようと思っていたり。
いや、もちろん「ムー」とかにはまった、とかじゃないっすよ。

四方田犬彦「かわいい」論(ちくま新書)
四方田犬彦って読んだことがないのに「なんとなく難しい映画の話を書く人」ってイメージがあって敬遠してたけど、どっこい、いわゆる日本独自の「かわいい」文化を丁寧に読み解く本書を読んで、それは間違いだったと反省した。
もちろん学者先生だからところどころ難しめの話も出てくるけど、たとえば「きもかわ」とか「ゴスロリ」とかかわいさと気持ち悪さの関連性をここまで解き明かしているのは素晴らしい。また学者先生ゆえの論の進め方の整然さも気持ちいい。
「かわいい」というキーワードが気になるなら絶対読むべき一冊。オススメ。

近藤 淳也「「へんな会社」のつくり方」
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「はてな」のサービスはアンテナとRSSを使っていて、自分にとってかゆいところに手が届くサービスだなぁと思ってはいたものの、「はてな」ってどんな会社なのか得体がしれなかった(し、どうでもいいといえばどうでもいいことだ)。
「はてなダイアリー」も使いこそしないもののその面白さは分かるし、よくもその面白さを技術的に実現しているもんだ、と感心もする。他のblogサービスと根本的に考え方が違う。
そんな時、どこかの商業WEBサイトで「株式会社はてな」のユニークさが取り上げられていて、何て面白い会社なんだ!と思った。
本書は社長である近藤淳也がはてなを貫くポリシーがどうして生まれたのかを語っているけど、この人はホントに面白い人だ。ユーザーの意見の取り入れ方や自分たちの方針をオープンにするあたりは自分もとても共感できた。
インターネットに限らず客と絡む仕事をしている人は、読むと何かしらの感銘を受けると思う。

梅田望夫「ウェブ進化論」
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最近のベストセラーだそうな。
僕にとってベストセラーであることは読む際にとくにネガティブなことではない。ただ、この手のweb本って昔は読んでワクワクしたものだけど、さすがにもういいか、という気持ちがあって気になってはいたものの、あえて避けていた。
と思っていたら著者である梅田望夫氏が上に紹介した「「へんな会社」のつくり方」で解説を書いていて、その文がなかなか面白かったので、では本書を読んでみるかということになった(梅田望夫は会社側から乞われて株式会社はてなの取締役になってるそうな)。

僕は漠然と「従来の手書きwebとblogは技術以上に大きく違うものだ」と感じていたけど、その考えに明確に輪郭をあたえてくれそうな予感があって、読んでみたらまさにその通りだった。

googleの素晴らしさが延々と書かれていてもういいよ、って気にもなるんだけど、ここまで明確に、そして簡単に「googleが何をしたいのか」をまとめられているのは面白い。同じく「はてな」に関しても少しだけ触れられているけど、同様にそのユニークな部分を書き出している。

あとキャッチーなキーワードとして「ロングテール」が取り上げられている。これは「どうして僕の好きなレコード(本でもいい)が置いてあるレコード屋(本屋でもいい)は少ないんだろう」という悩みが、ネットにおいてはビジネスとして成り立つゆえ解決できる、ということだろう。喜ばしいことである、っていうかすでにamazonにおいてそれはかなり解決されているのだけども、リアルとネットではビジネスのやり方もまったく異なるから現実のメタファーでネットを理解しようとしても難しい、というのは確かにそうだと思う。

WEB2.0という言葉に惑わされたくないならば、読んでもいいのでは。それにしてもこういう本がベストセラー、ってWEB好きな人以外に一体どういう人が買ってるんだろう?ビジネスマンが読むのか?

岩井俊雄「いわいさんちへようこそ!」(紀伊國屋書店)
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以前見に行った岩井俊雄制作のNintendoDSソフト「エレクトロプランクトン」の展覧会で、彼が娘に作ってあげた手作りのおもちゃが展示されていてそれがどの展示物よりもインパクトがあったんだけど、それらを一冊の本にまとめたのが本書。
娘のロカちゃんが岩井さんに似てるんだけどかわいらしい(←「だけど」が失礼)。

子供にこういったものを作ってあげることを決して押しつけたりしないで、でも子供と接する際にポリシーを持つべき、という岩井さんの主張が伝わってきて耳が痛いっす。
ちなみにうちで流行ってるこの手のことは、いろんなシールや絵をマグネットシートに貼りつけて切り抜いて冷蔵庫に貼ること。なんか楽しい。


2006年4月10日月曜日

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

やっと見ました、『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』。
場所は有楽町ビックカメラ内のシネカノンってところで、たぶん初めて来たような気がする。字幕版でした。
土曜の夕方だったけど意外に人が入ってて、それなりにヒットしてるよう。

さて内容だけど、うん、面白かった。今までのシリーズ以上にギャグが冴えてて何度も場内に笑い声があがって盛り上がりを感じた。ウォレスの発明品のギミックも楽しいし、グルミットも今までの作品で一番かわいい造形になってたし。

ただ、手放しでよかった、といえない点が。(以下、ネタバレ)

今回、ウォレスがあることがきっかけで怪物化するんだけど、そこが生理的にどうも苦手だった。同時にウサギもウォレス化するけど、どちらもなんだか気持ち悪くてずっと見てて違和感が残った。いや、単に肉体が変容したりするのが苦手なだけなんだけど。ここが自分にとってはマイナスで残念。
しかも、ウサギの方は最後まで直らない!ここ、ニック・パークのちょっとした異常性を感じるなぁ。だって、たぶん彼はこのこと自体に気持ち悪さは感じてないんだもん。ハッピーエンド的な扱いまでしてるし(笑)。
そうそう、今回のはタイトルロゴがすでにそうだったけど、モンスターものなんですね。前半はとくに「ゴーストバスターズ」とプロットが似てた(別にパクリって言ってるんじゃないすよ)。

2006年4月8日土曜日

「テレビブロス」と「サンレコ」と

引っ越しの最中にいつも買っている映画に強いテレビ雑誌「TVタロウ」を荷造りしてしまって、テレビ番組を知りたいのにすぐには出てこないので何年ぶりかで「テレビブロス」を買ってみた。
時を同じくして、こちらは特集が面白かったからだけど、同じ頃よく読んでいた「サウンド&レコーディングマガジン」(2006/4号)を買った。

まずは「テレビブロス」だけど、いやぁ、これ今読むとイタイ雑誌だよなぁ。いや、もちろん学生時代はかなり共感しながら読んでたんだけど、ホントお前何様?っていう「ブロス探偵団」ってコラムとかそのノリを踏襲した読者投稿欄とか。とても読む気がしなかった。
いまの二十歳の子とかもブロス読むのかな?だとしたら、ちょい執筆陣の年齢層高いよね。僕が学生の頃の「サブカルチャーな人」が多い気がする。

「サウンド&レコーディングマガジン」ことサンレコは、昔DTPみたいなことをやってたんでたまに買ったりもしたんだけど、今やその手の記事はちんぷんかんぷん。何が書いてあるのか分からん(当時もあんまり分かってなかったけど)。そもそも当たり前に出てくる「DAW」ってのが何をさしているのか分からないし(デジタル・オーディオ・ワークステーションのことらしい)。

さて、特集の「あの時、あの音」という19のアルバムや曲に関するレコーディング回想録はとても面白かった。「細野晴臣/フィルハーモニー」「BOφWY/BOφWY」「TMネットワーク/Get Wild」「電気グルーヴ/Shangri-La」「テイトウワ/Future Listening!」「フリッパーズ・ギター/GROOVE TUBE」」「遊佐未森/ハルモニオデオン」「UA/情熱」「いとうせいこう/MESS/AGE」とか、持ってるのや聞いたことあるのが多かったせいもある。

中でも「BOφWY/BOφWY」「TMネットワーク/Get Wild」が面白くて、BOφWYは最近自分の中で改めて聞いていたのもあるんだけど、この3rdアルバムがそれまでの作品と比べて飛躍的に完成度があがっている。そこにはここで語られていたようにプロデューサー佐久間正英の存在とベルリン在住のエンジニア、マイケル・ツィマリングによるところが大きいことがよく分かる。

「Get Wild」が面白いのは、そのサウンドというより、最初から「アニメ・シティハンターのエンディング」と依頼された曲だった、ということ。小室哲哉はこう語る。

「アニメの制作会社とかなり念入りな打ち合わせをさせていただいたんです。曲のイントロの何秒間はストーリーの本編がまだ続いていて、そこから曲がフェード・インして、エンディングの映像につながる。しかも、その切り替わりのタイミングで“何か爆発するような音を”というかなり具体的なオーダーがあったんです」(P50)


なるほど、そうだったのか!
確かに曲のイメージとかあってたもんなぁ。小比類巻かほるの「CITY HUNTER 〜愛よ消えないで」がタイトル以外はまったく本編と関係がないのと対称的だ。

2006年4月7日金曜日

道案内 in English

今日、通勤途中に外国の人に呼び止められて、僕は英語がダメなんであちゃーと思ったけど、気弱やさしそうな外見からときどきこうやって道を聞かれることがある。
幸いその人は英語がネイティヴじゃないせいのか、わりと聞き取りやすくてどうやら伊勢丹に行きたいことが分かったんだけど、そこは駅の反対側。うーん、どうしたもんかとモゴモゴしてたら、とりあえずこちらは間違いなのか?と聞くんで、そうそうと方向だけ指したら礼を言って行ってしまった。

こういう時はホントに英語がしゃべれたらなぁ……と思うんだけども、ふと、いや、これ日本語でも説明が難しいなと思った。駅の反対側だ、ってのは言えるけど、たとえばflagsの横を曲がってしばらくいくと少し大きい通りがあるから……とか言ってもなぁ。
おそらく道案内を英語でする、ってのは突発的だったり、地理的に精通してたりするわけでもないからとてもハードルの高いことなんでは、と思った。
でも、「駅の反対側」ってなんていうのか分からんなぁ。DSの「えいご漬け」やろうかしら。

2006年4月6日木曜日

今春の注目レコードメモ。

タイトルは「こんしゅうのびっくりどっきりめか」の節回しで読んでください。

4/26
・「セニョール・ココナッツYellow Fever(邦題:プレイズYMO)
セニョール・ココナッツといえば、クラフトワークのラテンカバー(意外にラテンとして楽しめる!)が素晴らしすぎだったけど、今度はなんと全編YMOカヴァーによるアルバム。これは絶対買う。

5/24
・「pizzicato five/5 minutes of pizzicato five(仮)
blog以前からこのサイトを読んでいる人は特に、僕がピチカートファイヴが好きなことはご存じだとは思うけど、実は後期のreadymadeレーベル時代のピチカートファイヴは全然好きになれず、いまだにアルバムを聴いたことがないぐらい。つまり、自分が好きだった時代のアルバムはいまでも繰り返し聴くけど、全部聴こうとは思わない、というぐらいのファンなのである。

でも久々にこのアルバムはターゲットオン。なんでも

「ピチカート・ファイヴの音源を、小西康陽と親交の深いDJ/ミュージシャンが独自のエディット・センスによってミックス(=Cut-Up)した「ピチカートCut-Up競作」

ピー(鼻血が出る音)、トントン(首筋を叩く音)。ピチカートをカットアップですよ!え、古い?でも弱いんだよなぁ、この手の盤。リミックスでもトリビュートでもなく、カットアップ。たまらん。
メンツは「Sunaga t Experienceこと須永辰緒のほか、HALFBYこと高橋孝博、レディメイド所属のDJ・リミキサーの吉田哲人、CUBISMO GRAFICO、HANDSOMEBOY TECHNIQUE、川西卓、BOOT BEA」だそうで、公式サイトの小西康陽日記には

じつはもうひとり、カットアップと言えばこの人、という人にお願いしたのですが、一斉配信にはギリギリ間に合いませんでした。いずれ何らかの形で発表することになるはずですが、素晴らしく刺激にあふれたトラックです。きょうはタイトルだけ発表しておきましょう。「ピチカート・ファイヴの考えたことは何ですか。」みなさん、もう少しお待ち下さい。


とある。うーん、誰だろ?常盤響?groovisions?
とりあえず発売日の5/24(コニシ)が楽しみ。実はiTMSでは先行発売してるようなんですが。

6/21
・「中森明菜/D404ME
ミ・アモーレが入ったアルバムだけど、意味不明なタイトルとか何か子供心にひっかかった。曲も割と好きなのが多かったと記憶。「BITTER AND SWEET」「不思議」あたりも聴いたことある気がする。
アイドルのベスト以外のオリジナルアルバムって意外と手に入れるのが難しくて、明菜はベスト1〜3は持ってるのにオリジナルは「CRIMSON」(竹内まりやの「駅」「OH NO,OH YES!」が入ってるやつ)しか手元にない。


あれ?全部カバーとかリミックス、再発とかばっかりで純粋な新作はなし?
ええ、そうです、もう新譜にはほとんど興味ないんです(泣)。

2006年4月5日水曜日

引っ越し後のテレビ環境

前に予告したとおり、今回は引っ越し後のテレビ環境について。

まずテレビと僕の関係だけど、見たくない番組は一切見ない。だからテレビをだらだらとつけてみるということは全くない。
だけど、映像コンテンツとしてのテレビ番組はけっこう好きで、見たい番組は見ないと気がすまない。特に情報バラエティ系が好み。

さて、引っ越し前と引っ越し後の環境の大きな違いをまとめてみると……。

BSアナログが見られるようになった
HDDレコーダーにはBSアナログのチューナーはついているので録画もできる。

MX/TVKが写らなくなった
以前はアンテナだったのが、どうも今の家はケーブル経由のアンテナらしくてそのせいでは、と考えている。が、どうせ見ないから関係ない。

僕のパソコン用液晶モニタでもテレビが見られるようになった
家のいたるところにアンテナ口があったので可能に。PinPという、PC入力を選んでいても画面の隅にテレビ画面を表示できる機能を初めて使用した。しかも今知ったけど、メニューでテレビじゃなくてビデオ入力を表示させることもできる!これはいいかも。

リビングがやや狭いのと横に寝室があるのとで、リビングにあるテレビを完全活用できない
もっともそういう理由だけじゃなくて、映画とかはやはり自室で集中してみたいところ。

以上のことから考えたのが、自室にあるパソコン用マルチモニタ(SONY MFM-HT95(液晶モニタ)に関するエントリ)を映像を映すモニタとして活用できないか、ということ。
このモニタは4つの入力端子とアンテナ入力があって
1) D端子(D4) →基本的にゲーム用。今は初代PS2がつながっている。
2) S端子   →時々GAMECUBEがつながる。
3) DVI-D   →メインPC、Apple G4 CUBEがつながっている。
4) D-Sub15ピン→未使用、たぶん今後も使わなさそう
5) アンテナ入力 →地上波が見られる。ニュース見たい時とか便利。
レンタルしたDVDや、DVD-R、とくにDVD-RWに落としたテレビ番組をちょこちょこ見たいんだけど、意外とこれが難しい。
PS2・G4CUBEはDVDドライブがあるんだけど、ともにDVD-RWには対応してない(PS2は途中の型から対応したそうな)。
うーん、こうなったらなんらかの工夫をしてDVD-RWを見られるようにしたい。
 ×PS2を買い換える
  →いや、だって秋にPS3出るし。
 ×G4CUBEのドライブを変更する
  →こうやってパソコンのハード面を少しずつアップしていくのは結果的にコストが悪いことを、これ以前に使用していたPerformaの時に思ったのでイヤ。
 ×DVD-RAMを使う
  ディスクを買ってみて、マックは認識するけどフォーマットが違うため初期化しようとしてダメ。
 ×DVD-Rなら見れるから、使い捨てで使用する
  それはなんかポリシーに反する……。
 ×HDMI端子付きのプレーヤーを買って、DVI-Dに変換して見る
  HDMI端子付きのプレーヤーの値段が高くて用途を考えると現実的じゃない。
  あとG4CUBEがアナログ出力になるものなんか哀しい。
やっぱりDVDプレーヤーを買うのがベストか、と思い電器店を見てみると、もう1万円以下で再生機って買えるのね。その中からソニー信者なのでこれを選択。
SONY DVP-M20P DVDプレーヤー
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DVD-RW再生可能が最低限の要求スペックだけど、それ以外に「最近6枚までDVDメディアをレジューム」ってのが気に入った。これ、あまりウリにしてないけど、SONYのサイトのPDFカタログを見たら書いてあって、決め手となった。本体にタイムカウンタがないのも残り時間を気にしないで見られて、むしろいい。
でも迷ったのが、D端子とS端子どちらでつなぐか?
もちろん普通に考えればD端子なんだけどこちらはPS2がつながっている。PS2はS端子でつなぐとD端子との違いがすごい分かるので、できればD端子でつないでおきたい。でもD端子の入力切替器は安くても5000円ぐらいするのでどうも……。
いろいろ試してみたけど、D端子とS端子にPS2ほどの違いは感じられない。ので、こりゃS端子に接続でいいや、という結論に。
なんか「ハイデフ」の逆を行っちゃってる気もするけど、見る機会が作れなければそもそも意味がないんでとりあえずはこれで満足。

2006年4月3日月曜日

My First Decade

4月1日ってんで、エイプリル・フールに絡んだことばっかり考えてたんだけど、そういえばこの日って入学とか入社とかの日だ。
で、ふと、あ、今日で僕がゲーム業界に就職して(転職してないから入社して)ちょうど10年目であることに気づいた。

10年……。
正直、もう10年ぐらいやってるつもりだったから、あぁ、もうそんなになるか、という感じだったけど、10年前新卒として入社した時の自分を思い出すとなんと使えないやつだったんだろうと、しみじみ思う。

珍しくちょっと真面目なことを書くけども……。
10年経った今、その時の自分に教えてやりたいことが山ほどある。けれども、同時にきっと言っても分からないだろうなとも思う。教えられないからこその10年、それが経験なんだと思う。
もちろん、スキル的にもいろんなことができるようにはなったけど、自分の中でたとえば失敗した時に学ぶリスク回避の心得や逆に成功した時に得たカンのようなもの・コツのようなもの……、こういったものが自分の中で一番の糧であり武器なんである。教えてといっても教えてもらえないし、他人に教えることもできない。自分で気づくしかないのだ。
だから僕はある時から、会社での評価をあげることはほとんど意識しなくなり、自分がたとえば一年前の自分にダメ出しできるぐらい成長しているかどうかをとても意識するようになった。
また何かのアプリケーションの操作方法を一所懸命覚えるのではなく(それも大事だけど)、何をしたいのかを一所懸命考え、その際に自分がマスターしなくてはならないことだけを覚えるようにした。
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あまり好きではなかった高校三年生の担任が、こんなことを言っていた。
「君たちが今後仕事に就いた時に、どんなにつまらなくても10年は続けてみないと分からない」
その言葉は、イヤなことはすぐにやめてしまう自分にとって意外と強く残っていたようで、仕事がいやになったりウンザリした時にもこの言葉を思い出して、「そうかもしれないなぁ」と思うこともしばしばだった。
とくに僕はゲームマニアでもなかったし理系的な勉強をしたわけでもなく、ただ「なんか面白そうな・自分がなにかできそうな職業」というカンだけでゲーム業界に入ったので、何年もの間、本当にこの仕事が自分にあっていて生涯続けていけるのか自信が持てなかった。
だから、10年目が近づくに連れて、「10年目になったらFA権取得」と思うようになった。つまり、もし10年目に仕事が自分にあっていないと思ったら(会社ではなく)仕事を変えよう、と。
実はこれはけっこう本気で考えていたことだった。というのも、転職してうまくいくのもせいぜい30代前半。ゆえに、もし今の職業があわなくてどうしても面白く思えなかったら、やめるならその時が限界なのだ。
幸い、僕は10年目に近づくに連れてどんどん仕事が面白くなってきて、今ではそんなことを考えていたことすら忘れていた。
ただ、職業があわないのかと悩んだことはあったけど、同じ業種の別の会社に行こうと思ったことは一度もなかった。それはあの10年前の使えない自分を採用してくれた会社に対する感謝の気持ちであり、こうして面白く仕事ができているからだと思う。
だから、もしこれを読んでいる新卒の人がいたら、ひとつ「10年」を意識して仕事をやってみることをお薦めします。