2006年9月22日金曜日

「書店繁盛記」

書店繁盛記
田口 久美子
4591094332


現役のジュンク堂書店員さんのwebマガジンでのコラムをまとめた本。文章は若い感じがするけど、プロフィール見るともう60歳近い方なので、それを念頭において読んだ方がいいと思う。

というのも、僕はかねがねいけないことだと思っているのが、本好きな人が「もっと本を読もう!」と言ったときの「本」というのは、その人がいいと思う本である、という事実(実は僕もそうだったりするんだけども)。でも「本を読もう」と人に言うとき、その人がどういう本を手に取るかは口を出さない方がいいと自戒をこめて言いたい。まずは活字を読む癖をつけてもらって、本を読むという行為が日常になって、そうなれば自然と読書の深さも出てくると思うのだ。
ところがこの著者は、たとえばライトノベルとかセカチューとか韓流ブームとかの本に眉をしかめる(正直言うと僕もそうなんだけども)。これらの本で書店が潤っているのにも関わらず。

前半は書店員ならではの本の話が聞けて読み応えがあったけど、後半になるともはや愚痴にしか読めなくて正直閉口した。これは本屋本(ってジャンルがあるか知らないけど、「店長の本」としてまとめて紹介したことがある;笑)でいうと「早川義夫/ぼくは本屋のおやじさん」(晶文社)と同様のうんざり。逆にセレクトショップ的な考えで本屋を経営している「安藤哲也/本屋はサイコー!」(新潮OH!文庫)「永江朗/菊地くんの本屋 ヴィレッジヴァンガード物語」(アルメディア)などはとても楽しく読めた。
個人的なことをいうと僕にとっての本屋は、amazonを利用し始めてからますます本のセレクトショップでしかなくなってきた。だって大型書店に行っても目当ての本が手に入らないことが多いんだもん。

だから、著者が嘆く書店員の苦労なんて正直知ったこっちゃない。本人も気づいていると思うけど、品揃えの数で勝負していては絶対にamazonにはかなわない。しかもそれを文化の衰退のように書くのは何か違和感を感じる。確かにamazon一人勝ちになっちゃうとこの本でも触れられているようにamazonが売りたくない本は売らない、みたいな気持ち悪いことが起こる弊害はあるし、amazonが薦めてくる本の単純さは、確かに「文化」ではないとは思うけども。

でもそもそもの矛盾が、この本がwebマガジンで連載されたものを書籍化したもので、amazonを意識した価格(1600円)であること。まぁ、価格は言いがかりかもしれないけど、あえて1450円とかにして、リアル書店の気概を見せてほしかった。これだとamazonに敗北宣言してる気がするんだけれども。

と文句ばかり書いたけど、僕はこの著者の前著「書店風雲録」もしっかり読んでたりする。というのも、やはり書店員から見た本の世界というのはそれなりに面白いから。「ハリーポッター」の出版社って美談ばっかりのイメージだったけど、書店員から見るとうんざり、というのもへーという感じ。

ところで、新宿のジュンク堂書店はオープン後しばらくして行ってみたけど、やたら棚と棚の間が狭く、しかも棚が高くてとても圧迫感があるのが苦手で、その後足を遠ざけていた。
しかしよくよく探すと、そのおかげで本はかなりそろっている。文庫なんかはかなりの充実ぶりで、会社から近い高島屋奥の紀伊国屋よりもよっぽど探している本との遭遇確率が高い。池袋店は見物でしか行ったことないけど(そもそも池袋はめったに行かないし)、仙台では新宿と同じくLOFTと共存してたなぁ。
もっともジュンク堂・紀伊国屋、どちらも閉店時間が早めなのが僕にとっては致命的だけども(だって駅ビルのブックファーストって23:00閉店すよ!)。

本屋についてはまだ書き足りないので、続くかも。

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