2008年3月19日水曜日

星が輝いていた頃。

昨年逝去した阿久悠だけど、その作品群を見ると改めてすごい人だったんだなと思う。
そんな阿久悠が自分の全盛期を振り返ったのがこちら。

夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫 あ 8-5)
阿久 悠
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阿久悠って作詞家としてのピークを過ぎてからは、なんだか説教臭かったり変に詩人ぽくなっててちょっとなぁ……と思ってたんだけど、この本はその辺のバランスはよくて逆に文章にちょっとした味わいがあってよかった。

テレビ番組「スター誕生」を軸に書かれているんだけど、僕はこの番組はあまり見たことがなくて、でもここから巣立った歌手はかなり知っているぐらいの世代になる。

だから欽ちゃんや一時期はタモリが司会をしていたことや、西山浩司や黒部幸英はここの素人コーナーから芸能人になったことなどは全然知らなかった。

やはり読みどころは阿久悠の代表作といっていいピンクレディーに関する部分で、その時の本命は清水由貴子で、ピンクレディーは「ドラフト5位」ぐらいというから驚き。
また、この時ピンクレディーはフォークデュオっぽいいでたちで出演していたという話は聞いていたけど、それは作戦であって、とくにフォーク指向ではなかったらしい。だからピンクレディーも彼女たちにとって決して無理矢理ではなく、それなりに積極的に活動していたとは言えそう。
ピンクレディーのもう一人の生みの親といえばやはり都倉俊一だけど、当時からすればやや日本人離れした彼のファーストインプレッションも読みどころのひとつ。
都倉俊一と阿久悠がピンクレディーを生み出すまでには「山本リンダの復活プロジェクト」→「フィンガー5」という流れがちゃんとあって、それは「歌のアニメ化」である、という言い方をされていて面白い。細野晴臣がYMOの「ライディーン」はアニメのように作った(アニソンという意味ではない)といっていたけど、YMOが初期のライブで「ウォンテッド」をカバーしてたのは必然なのだ。

さて、他にもこの本にはちょっとしたことがいろいろ書かれていて芸能本としても面白かった。たとえば

由美かおるって金井克子(ex.「他人の関係」)と奈美悦子(ex.乳首喪失裁判)らと「レ・ガールズ」というアイドルグループだったとか。

いくつかアニソンを歌っている町田義人は元ズーニーブー。
ズーニーブーの「ひとりの悲しみ」はのちに阿久悠が歌詞を変えて「また逢う日まで」になった話は有名。

などなど。

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ところでこの本を読んでいたら、ピンクレディーも司会をしていた「ザ・チャンス」という1979年4月10日~1986年10月2日にTBS系で放送されていた視聴者参加クイズ&ゲーム形式のアトラクション番組を思い出した。
この番組、ゲームの企画を考えてるときによく思い出す。「あ、これザ・チャンスであったネタだよなぁ」とか。今、再評価したい番組である。

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