2008年2月9日土曜日

LIFE AT SLITS/安原製作所回顧録

ホントにしょっちゅう書いているけど、会社、ショップ、サービス、webサイト、チーム、テレビ局……なんでもいいけど、「何かを立ち上げる」という話に弱くて、その手の本はむさぼるように読んでしまう。

今回は、珍しい題材のものを立て続けに読んだ。

LIFE AT SLITS ライフ・アット・スリッツ
山下 直樹(元スリッツ店長); 浜田 淳
4860202473


スリッツ、って聞いても「ライブハウスだっけ?」という程度しか知らないんだけど、その前身であるクラブ「ZOO」ともども雑誌なんかでよくその名前を見かけた。でもここから渋谷系~ポスト渋谷系のミュージシャンがたくさん巣立っていったことは全然知らなくてビックリした。

コモエスタ八重樫らの東京パノラママンボボーイズ、ロッテンハッツ、グレート3関連、Tokyo No.1 Soulset、MURO、ラブ・タンバリンズ、LBネイション(スチャダラパーとか)、米国音楽、ダブル・フェイマスetc.

彼らがなんらかの形でイベントをしてたとは。脈絡のなさがすげー!!でもその脈絡のなさはすごい90年代初頭な感じ。懐かしいにおいがする。
でもこれ読んで、なんとなく落ち込んじゃうのは、この頃自分も東京にいたはずなのに全然こういった「場」に参加できなかったなぁ、ってことだ。あまりお酒も飲めず(のわりに居酒屋でバイトしてましたが;笑)、夜遊びも恐くてできないイナカものなのは今でも変わっておらず。僕は基本的にひきこもりだよなぁと思ったり。

それはともかく、京浜兄弟社周辺のこういう本も読んでみたいと思った。

CSV渋谷('85~'88)というお店は、西武のWAVEなどに対抗して、ダイエーが渋谷公園通りにオープンしたレコード屋+映像&録音スタジオであった。ここは売られていたレコードが極めてマニアックな品揃えであったことと、スタディスト岸野雄一さんや平成のアラーキー常盤響さんなど京浜兄弟社のメンバーがバイトをしていたことで、サブカル界の一部では有名である

http://d.hatena.ne.jp/kataru2000/20061205/p1


��

もうひとつはなんと個人でカメラを作っちゃった、というお話。

安原製作所回顧録 (えい文庫 158)
安原 伸
4777909263


この「安原製作所」ってなにかで読んで知ってたんだよなぁ……。赤瀬川原平本だった気もするけど、手持ちの本には見あたらない。webだっけかなぁ?

それはともかく、この本には著者である安原伸氏が京セラを退社した後、自分がほしい、そして技術者としての自分が考える理想のカメラを作りたい、と行動を開始したら本当にカメラを作ってしまいました、というよくよく考えるとものすごい話が、たんたんと書いてある。
読んでみると分かるんだけど、そんなに力んでるわけでもない。でも彼のポリシーは揺るぎがなくて、たとえばところどころクラシックカメラ信者に対してチクリとやっていたりして、赤瀬川原平先生なんてかなりやられていたりする(笑)。この内容については、同じくクラシックカメラ信者の教祖・田中長徳氏がblogで取り上げている。もっとも、あくまでメーカーとユーザーという立場でごもっともなことを書いてはいるんだけども。

さて、こんなすごいことをさらりとやってしまった安原氏であるけど、彼の文章のところどころに達観と諦観が表裏一体になったものがちらちら顔を出すのが面白い。

また本人も書いているように、その自分の行動を回顧することがカメラ業界全体を回顧することになった、というのもその通りのようで、こちらの中古カメラブームに関して書かれた本と一緒に読むといいと思う。

ブームはどう始まりどう終わるのか (岩波アクティブ新書)
中川 右介
4007000964


それにしてもこの安原伸という方、最初の方を読んでるうちはなんとなく中肉中背のカチッとした理系な感じの人かと想像してたんだけど、プロフィールを調べたりするとなんかマニアックな人!?と感じ、ネットでご本人の写真を見るとなるほど、こんな人なのか……。なんか納得したかも!


0 件のコメント:

コメントを投稿