2006年11月16日木曜日

元祖天才ブルボン

ぐっとくる題名
ブルボン小林
4121502272


ブルボン小林は「ファミ通」にゲームのコラムを連載しているので名前を知ったけど、正直面白くなくていつも飛ばしている。しかし、この本はなかなか面白かった。見直した!

本、映画、曲などの題名に関して考察するこの本は、実は「詩」に関する本だったりする。短い、シンプルな言葉にどれだけ言外の意味を感じさせられるか。この本で取り上げているタイトルは、確かにかなりの割合で「ぐっとくる」。
「部屋とYシャツと私」に潜むもう1人の人物の考察、「利家とまつ」が「トミーとマツ」へのタイトルオマージュであるという仮説、「勝訴ストリップ」「無罪モラトリアム」はどちらも「SS」「MM」と頭韻を揃えているという指摘、ITのハウツー本で「今夜わかる」シリーズが味わい深いという感覚などなど。
うーん、一見ふざけた文体だけどさすが芥川賞作家とうなった、小説作品は読んだことないけど(長嶋有名義、「猛スピードで母は」)。

ちなみに同じく別名義で芥川賞を取っている赤瀬川原平(尾辻克彦名義、「父が消えた」)も同趣向の本を出していて(「赤瀬川原平の今月のタイトルマッチ」ギャップ出版)、偶然なんだろうけど面白いなぁと追った。



余談だけど、ここで紹介されていた「角田光代/これからはあるくのだ」を買ってしまった。あと、悪い例というニュアンスで紹介されていた「松原 隆一郎 辰巳 渚/消費の正解 ブランド好きの人がなぜ100円ショップでも買うのか」と「ブルボン小林の末端通信」も図書館で借りてしまい、意図せずにブックガイドになってしまった。
ブルボン小林の末端通信 Web生活を楽にする66のヒント
web連載をまとめた本。
前半、おそらく芥川賞を取る前まではけっこう面白かった。それ以後は自分でも書いているけどやや硬くなっていてイマイチだなぁと思った。あと、webで書いた文章って本になるとどうも軽薄な感じがする。お前もwebで書いた文章を同人誌にしたじゃん、と言われるかもしれないけど、だからこそ全面的に文体には手を入れたのだった。
あとよく文末に書いてある「(へぼ)」ってのがなんかイライラした(というかどういうニュアンスで書いているのか分からない)。
松原 隆一郎 辰巳 渚/消費の正解 ブランド好きの人がなぜ100円ショップでも買うのか
対談形式で、次のような辰巳氏(「捨てる技術」の人)の疑問について経済系社会学者?の松原氏が答えるという本。
・ブランドものを買うような人がなぜ100円ショップで買い物をするのか?
・高い財布を買うのと温泉旅行、後者の方が「ためになる」と思うのはなぜか?
・ランキング上位のものや、行列に並びたくなるのはなぜか?
・ユニクロについて
・ペプシマンのボトルキャップとペプシの戦略、オマケについて
・マクドナルド、スターバックスからみる割安感と高級感
・ネットオークションとフリーマーケット
・素人が株を買うこと
ほか
とテーマ的にはいつも自分が考えてるような疑問が多かったので、なかなかだったんだけども、どうも対談の雰囲気がいまひとつ楽しくなさそうなのが残念。「経済ってこういうことだったのか会議」と比べると売れないだろうなぁと思ってしまう。
たぶん、辰巳氏が勉強体質しすぎなんじゃないかな。はっきりと考えを持ちすぎていて、しつこい質問になってしまっているような。この手のはある程度教えてもらう人に丸めてもらうぐらいがいいと思った。
あと、やっぱりタイトル、装幀、まるでだめだと思った。表紙のイラスト、軽薄すぎて内容とまるであってないし。もうちょっと高級感のある装幀の方があってると思う。タイトルは「消費の天才・秀才・凡才」とかどうか。
余談だけど辰巳氏の「捨てる技術」シリーズに興味が出て、どれもBOOKOFFで100円だったので「捨てる技術」「暮らす技術」「もう一度捨てる技術」を買ってしまった。わりと実践してることが書かれてたけど。
それにしてもこの辰巳渚という人はどうしてもこうも終始イライラしてる感じがするんだろうか。もうちょい落ち着け、と読んでいて何度も思った。こっちの話を聞いてくれない感じというか。主張自体は分かることも多いので、なんかもったいない。
これからはあるくのだ
角田 光代
4167672014

短いコラム集。
表題コラムが、タイトルは感傷的だけど内容はコミカル、というのに興味を持って読んでみた。
さすが小説家のコラム、という感じで、なかなか文学的な余韻があるものと、単にハハハと笑えるものとがバランスよく並んでいて楽しく読めた。機会があったら小説も読んでみたい。

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