2006年11月13日月曜日

箱絵もよかったのよ。

ガンダム関係ってほとんど反応しない昨今だけど、これらが復刻されたと聞いて思わず即買いしてしまった。

機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション 1 ザク編 復刻版
講談社
4063721752


機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション 2 ジオン軍MS 復刻版
講談社
4063721760


機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション 3 連邦軍編 復刻版
講談社
4063721779


いわゆる「ファーストガンダム」終了後のプラモデル展開に頭を悩ましたバンダイが考え出した、プラモデルを売るためのガンダムシリーズ。つまり、ガンダムがモビルスーツ+プラモデル>アニメ作品となった瞬間の記録なのです。
ちなみに僕は民放が少なかった地方育ちのため、テレビアニメっていうのは放送されなくて当たり前、だけどプラモデルは手に入るから、別にアニメを見ていようといまいとあまり関係なかった(そもそも、あんまりロボットもののアニメを面白いと思って見てなかった気もするが)。

さて、この本では当時発表されたMSVシリーズの大河原邦夫御大によるイラストと小田雅弘らによる(今となっては公式かどうかすら怪しい)設定・ストーリーが網羅されていて、リアルタイムで衝撃を受けた僕にはたまらん内容。

wikipedia-モビルスーツバリエーション」で調べてみると(この項、めちゃくちゃ読み応えある)、この展開って講談社の編集者が考えたそうで、

「モビルスーツバリエーション(プラモデル販売は1982~1984)」の原点は、「怪獣倶楽部」所属のフリーライターで当時「テレビマガジン」編集長であった安井尚志(安井ひさし、やすい尚志)が、『講談社ポケット百科シリーズ15 機動戦士ガンダム』、『テレビ版 機動戦士ガンダム ストーリーブック』、『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』といった3つの書籍の執筆を氷川竜介に依頼したことに始まる。安井は設定が無ければ新たに作るという思想の持ち主で、ウルトラ超伝説(アンドロメロス)など、ウルトラシリーズの拡張作品のプロデュースを行い、設定を多く作り上げたことで知られている。


なんてこった!おそらく「アンドロメロス」はウルトラシリーズでは限りなく黒に近いグレーな歴史であるだろうが、僕にとってはこれまた衝撃だったのだ。それを同じ人が担当してたなんて!うーん、この人の手のひらの上で遊んでいたようなものか……。というか、この手のサイドストーリーが好きなだけなのかも(笑)。

モビルスーツバリエーションはスタジオぬえなどもたずさわっていた名著「GUNDAM CENTURY」が元になった、というのはwikipeiaを読んで初めて知った。MSV本編にスタジオぬえが関わってないのは、同時代に全面的に「超時空要塞マクロス(1982)」にたずさわっていたからだろうか。まぁ、ガンダムは大河原邦夫のものだから、仕事的な広がりという意味で限界を感じたのかもしれないけども(どうせなら、自分たちにとっての「ガンダム」を作ってやれ、と。そしてそれは成功だった)。


それにしても、ガンダムのミリタリー的なリアリティってどこまで意図されていたものなんだろう。たとえば、グフ(MS-07)とドム(MS-09)のナンバリングって1つとんでるんだけど、これって当初からこの間に1つボツになったナンバーの試作機がある、という意図でこうしてたんだろうか??だとすると、ホントに画期的な発想だったと思う。
その「ガンダム」から始まったミリタリーロボットの系譜だけど、MSVの後にテレビシリーズとして登場するのは、実は傍系(監督が高橋良輔で、プラモデルがバンダイではなくタカラ発売だった)の「太陽の牙ダグラム(1981~1983)」で、たぶん作品自体はそんなに評価されてないんだろうけど、プラモデルが異様に売れたため、なんと異例なことに一年半も放送してたそうな。今では名作と言われる「ガンダム」や「伝説巨神イデオン(1980)」が打ち切りだったのとは対照的。子供の頃は先述のように地元で放送されてなかったので放送期間が長かったことなど気づかなかったけど、プラモデルはいろいろ買ってもらった。ちょうどガンプラブームの余熱がまだあった頃だったのだ。
ちなみにダグラムは、『「兵器メーカー」の概念が明確に導入された』(「wikipedia-コンバットアーマー」)初めてのアニメ作品だそうな。
さて、「おもちゃを売る」という本来の目的においては失敗作だったテレビシリーズ「ガンダム」だったけど、その富野監督が手がけた「戦闘メカ ザブングル(1982)」は、ダグラムがウケていたため、当初の企画よりリアリティを出す方針となったそうな。
「ザブングル」は初の主役メカ交代で、これは子供心に驚いた。また、最初の主人公の機体「ザブングル」も2体あって、あんまり主人公機っぽくなかったのも印象的。
これと同時代の「ダグラム」の後継番組「装甲騎兵ボトムズ(1983)」では、そもそも主人公機が存在しなくなる。乗り捨て。すげー。もちろん兵器メーカーの概念も「ダグラム」から踏襲され、ロボットに大きさによる階級がつく(異なる星の人間は体の大きさが違うため、乗り込むロボットも少し大きいという理屈)。これは、「wikipedia-装甲騎兵ボトムズ」を見ると「ボトムズ」の最初の企画はロボット同士が格闘する「バトリング」主体だった、ということなので、ボクシング的なイメージだったのかもしれない。
ボトムズのロボットは子供の頃の僕にとってはずんぐりむっくりでとてもかっこいいと思えなかった。あと、主人公がメインで乗るロボが「ボトムズ」じゃなくて「スコープドッグ」というのも混乱した。プラモデルがバンダイじゃなくてタカラだったのもいまいちな感じだったし。
もっとも今思い返すと「コミックボンボン」連載の「プラモ狂四郎」に登場したかどうかも大きく関係してる気もする。ボトムズはほとんど出てこなかったし。
少しさかのぼるけど、先述の「マクロス(1982)」で初めてリアル路線のロボットが飛行形体に変形する。それがウケたため、この後の主人公ロボの多くは変形することを余儀なくされる。
ところが、富野監督ってのはやはり変わっているというか天才肌なんだろうか、「ザブングル」の後継番組「聖戦士ダンバイン(1983)」ではミリタリー色が薄い生態系のロボになる。
それでもマクロスの影響は免れえず、後半の主人公機として可変ロボが登場する。「wikipedia-ビルバイン」によると、
玩具展開を最重点とするスポンサーの意向を反映した最終デザイン及び変形ギミックは、それまで宮武一貴、出渕裕が構築してきたオーラマシンのデザインとは明らかに異なる、玩具然としたテイストであり、カラーリングも正義のヒーローメカという印象を全面に押し出した派手なものであるため、良くも悪くも特別な存在となっている。

とあるけど、子供の僕にはむしろ格別にかっこよく見えたから、スポンサーの意向も間違ってなかったのでは、と思う。
この頃、「超時空世紀オーガス(1983)」「銀河漂流バイファム(1983)」「機甲創世記モスピーダ(1983)」「特装機兵ドルバック(1983)」「重戦機エルガイム(1984)」「巨神ゴーグ(1984)」「機甲界ガリアン(1984)」と本当にいっぱいあったんだけど、どれもロボットの魅力という点ではいまひとつパッとせずに、満を持して本家のガンダムが1985年に「機動戦士Zガンダム」として登場するのだった。もっとも本流が復活したから、傍流は消えていくことになるんだけれども。
この頃、僕は小学校高学年だったのだから、いい時期に小学生をやっていたことよ。

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