2008年6月29日日曜日

クレーム襲撃

仕事をする際に気をつけていることに
「できるだけ怒らない」
がある。

これは言いたいことを言わないという意味ではなくて、不必要に怒りの感情を表に出さない、ということである。実際どこまでできているかはおいといて。

会社という場所では理不尽なことが起こったり、また自分も人に対して無自覚に理不尽なことをさせていたりする場合が、少なからずある。
そういう時に怒ると気持ちがスッキリする場面もあるんだけど、それでも怒ってはダメなのだ。

これは明確な理由があって、まず怒ることで相手に萎縮されてしまい、もし今後自分が間違った方向に行っていても誰も正してくれなくなる。
また相手に自分と仕事をしたくないと思わせてしまうのもデメリット。

てなことを感じていた昨今なんだけど、ちょうどクレーマー関係の本を読んでいてリンクする部分があることに気づいた。。

鉄槌! (角川文庫)
いしかわ じゅん
4041795044


理不尽な目にあったいしかわじゅんが裁判などを通じてそれを正す、という内容なんだけど、面白いのはメディア(具体的には双葉社の雑誌)上でクレームを表明したら、企業側がメディアを持つ者の強みをよく理解せずに脅しをかけてきて結果的に企業側が損をした、という今では珍しくないネットでのクレーム事件のようなことをまだネットもろくに発達してなかった時期にやったことだ。
この頃(1989年頃だというからバブル期か)、企業側が圧倒的に強くて客が理不尽な目にあっても泣き寝入りするケースが多かったんだろうなぁ。

それにしても結局いしかわじゅんが求めていたのは「誠意」に過ぎないのであって、それが分かっていない企業側の温度・空気が問題になったんだろう。
また、彼が関わった弁護士もまたかなり「誠意」を欠いた人々であった、というのも本人は不本意だろうけどこの本の内容を立体的にしている。

さて、この事件は企業側から見たらいしかわじゅんは「クレーマー」だったわけだけども、非があろうがなかろうかクレームに対する正しい対処というものは存在するはずで、その辺をまとめたのがこちら。

お客さま!そういう理屈は通りません (ベスト新書 188)
吉野 秀
4584121885


会社でも会議などをやっている際に、本質的な議論からはずれ冷や水を浴びせるようなことを言ったり自分の意見が通らないときに相手の揚げ足を取ることで議論をフリーズさせようとする人がいることがある。
そんな時、この本に書いてあるクレーマー対処術や心得がかなり通用する気がするのだ。

クレームというのは企業対個人だけでなく個人対個人でも起こりえて、それらをうまく解決するのは相手の主張の本質を逃さず、こちらはそれに対する対応の範囲を把握して、その落としどころを会話中で探っていくことなんだと思う。
著者はそういう能力を「フレーズ力」と呼んで、とくにお笑い芸人はそういう能力に長けていると書いているけど、なるほどと思う。

最後に企業に対するクレームを実例で紹介したのはこちら。

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)
関根 眞一
4121502442


いやぁ、ホントに企業のクレーム対応の部署は大変だなぁ。
でもクレーム対応に求められるのも、本質的には会話能力なんだと思う。

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