2007年7月16日月曜日

売野雅勇の世界

さて前回の最後に書いた「80年代カッコよさ」を歌謡曲の中でリードしていたのって、売野雅勇の歌詞世界じゃないかと、最近感じることが多い。

同時代では松本隆、森雪乃丞、秋元康などが活躍していたけど、売野雅勇の歌詞世界は「ツッパリ」と、「なんとなくクリスタル」とは正反対のAOR的世界観を体現していたような気がするのだ。

なんというか、部屋にはブラインド、髪にはムース、夏にはタンクトップ、冬にはスタジャン、ズボンにはタック、乗り物はバイク……てな感じ。子供の頃はこういう世界って「うわ、大きくなったら自分にはムリ」とか思ってたんだけど、実際に大きくなった頃には全然そういう世界観は流行ってなくてホッとした(笑)。
もっとも実際にこの手の世界がリアルであったのかどうかははなはだ疑問だけど、モデルケースであったことは確かな気がする。


自分が知る範囲で手がけた曲をあげていくと
チェッカーズ「涙のリクエスト」「哀しくてジェラシー」「星屑のステージ」「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」「あの娘とスキャンダル」「俺たちのロカビリーナイト」「OH!! POPSTAR」「Song for U.S.A.」
吉川晃司「サヨナラは八月のララバイ」「ラ・ヴィアンローズ」
1986オメガトライブ、カルロス・トシキ&オメガトライブ「Super Chance」「Miss Lonely Eyes」「Stay Girl, Stay Pure」「アクアマリンのままでいて」
稲垣潤一「夏のクラクション 」「想い出のビーチクラブ」
郷ひろみ 「2億4千万の瞳~エキゾチック・ジャパン~」
近藤真彦「ケジメなさい」「大将」
シブがき隊「挑発∞」「サムライ・ニッポン」「喝!」「アッパレ!フジヤマ」「KILL」
中森明菜「少女A」「1/2の神話」「禁区」「十戒(1984) 」
荻野目洋子「さよならの果実たち」「フラミンゴ in パラダイス」「六本木純情派」「湾岸太陽族」「北風のキャロル」、アルバム「246コネクション」
本田美奈子「殺意のバカンス」「好きといいなさい」
松本伊代「ビリーヴ」
河合奈保子「エスカレーション」「UNバランス」「コントロール」「唇のプライバシー」「北駅のソリチュード」「ジェラス・トレイン」「デビュー~Fly Me To Love」
wikipediaで知ったけど、矢沢永吉、山本達彦といったあたりを手がけているところも、なんか分かるなぁ。
そしてこれらの歌詞世界はかわいいアイドルには厳しすぎるけど、たとえば河合奈保子のキャラクター路線が変わってからしばらく彼が手がけたように、少年・少女に「背伸び」する感じを与えたいときにはかなり有効だったんじゃないかと思う。
前回紹介した「歌謡曲 名曲名盤ガイド1980’s」には、秋元康へのインタビューが載ってて面白かったけど、売野雅勇もどんな人なのかしりたいなぁ。最近は名前を見ない気がする、というより専業作詞家自体の活躍の場が少ないので、今は何をしているんだろう。これだけ有名曲があれば印税生活ができるんだろうか?
ちなみに意外にもアニソンもけっこう手がけていて、
井上大輔「めぐりあい」(劇場版ガンダム)、「水の星へ愛をこめて」(Zガンダム)、「サイレント・ヴォイス」(ZZガンダム)、鮎川麻弥「風のノーリプライ」(重戦機エルガイム)、ラフ&レディ「背番号のないエース」(劇場版タッチ)、「ガラスの仮面」、「ハートブレイクCrossing」(ふたり鷹)、「ON THE WING」(レンズマン)、「光戦隊マスクマン」「地球戦隊ファイブマン」
といった作品がある。作品としての共通点よりも彼がとくに売れっ子だった80年代中盤の作品群という見方をした方がいいのかも。
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80年代における「かっこよさ」というのは、後年の評価はともあれ
・ツッパリ
・アーバン(シティポップス的な世界)
・ニューウェーブ/テクノ
みたいに僕なんかは感じてるんだけど、そこからさかのぼって70年代になると、なんとなく「ヨコハマ」へのベクトルがかっこよさの基準になってるんじゃないかという気がして、これまた最近のテーマでもある。
それについてはまたいつか書きたい。

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