2006年12月7日木曜日

「山中恒/おれがあいつであいつがおれで」

おれがあいつであいつがおれで
山中 恒
4652021615


半年前に映画「転校生」を再見して、原作も読み直したくなり、購入。

本当に本を読まない子供だったけど、これは下ネタをフックとして珍しく最後まで読んだはず。先に映画を見てスジが頭に入ってたのかもしれないが、どちらを先に見たのかは記憶が曖昧。

今回読み直してみて、思いの外、映画が原作を忠実になぞっているのに驚いた。小学生→中学生という改変はあるものの(これは正解だと思う)、校長先生一家とのやりとり(映画にて山で一美を襲ったニイちゃんは校長先生の軟派息子!)をカット、原作では行かなかった移動教室は行ったことにしてプールでのエピソードを持ってくるといったマイナーチェンジを施し、そして最後に2人で行く小旅行は映画のオリジナル。
あと、一夫が8ミリマニアというのも映画のオリジナル。

両者を比較してみると、やっぱり映画版はすごい出来だと思う。筋を忠実になぞりながら、原作のコアの部分をより高いレベルで展開している。
こういうのこそ映画化した意味があると思うんだよなぁ。もっとも、この本は長さ的には中編ぐらいだから題材としてはもってこいだったのかもしれないけど。

ところで、「転校生」の感想で

それは、入れ替わる前の少女(小林聡美、めちゃくちゃ演技がうまい)が出番が短いくせにわりとおてんばに描かれているせいで、入れ替わったあとの少年(尾身としのり、こちらもうまい)が、その少女ではなく単にナヨナヨしたキャラに変貌した、というふうにしか見えないのだ。だから同時に女性の方は単にたくましくなった、というふうに見えてしまい、入れ替わったというよりそれぞれのメンタリティが変化した、という印象の方が強い。
この辺は実写映画の難しさなのかもしれないけど、この演出方針はちょっとどうかなぁと見るたびに思う。


と書いたけど、これは原作から存在する問題点でした。一美に対する周りの態度が決定しないうちに入れ替わっちゃってる。

ちなみに大林監督は「転校生」のセルフリメイクを撮影中だそうですが、どうなんだろうなぁ。

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