2006年4月11日火曜日

2006年3月の読書

本の感想、まとめて。
引っ越しをはさんで更新できない間にたまってしまった。

まずこれは改めて別エントリーで取りあげるけど、

木原 善彦「UFOとポストモダン」(平凡社新書)

がメチャクチャ面白かった。いわゆるUFOにまつわる「トンデモ」都市伝説みたいなものが生まれる時代背景を真面目に・丁寧に・解き明かす本なんだけど、思わずUFOがマイブームになってしまって、映画「プロフェシー」とか観たり、次は「未知との遭遇」を借りてこようと思っていたり。
いや、もちろん「ムー」とかにはまった、とかじゃないっすよ。

四方田犬彦「かわいい」論(ちくま新書)
四方田犬彦って読んだことがないのに「なんとなく難しい映画の話を書く人」ってイメージがあって敬遠してたけど、どっこい、いわゆる日本独自の「かわいい」文化を丁寧に読み解く本書を読んで、それは間違いだったと反省した。
もちろん学者先生だからところどころ難しめの話も出てくるけど、たとえば「きもかわ」とか「ゴスロリ」とかかわいさと気持ち悪さの関連性をここまで解き明かしているのは素晴らしい。また学者先生ゆえの論の進め方の整然さも気持ちいい。
「かわいい」というキーワードが気になるなら絶対読むべき一冊。オススメ。

近藤 淳也「「へんな会社」のつくり方」
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「はてな」のサービスはアンテナとRSSを使っていて、自分にとってかゆいところに手が届くサービスだなぁと思ってはいたものの、「はてな」ってどんな会社なのか得体がしれなかった(し、どうでもいいといえばどうでもいいことだ)。
「はてなダイアリー」も使いこそしないもののその面白さは分かるし、よくもその面白さを技術的に実現しているもんだ、と感心もする。他のblogサービスと根本的に考え方が違う。
そんな時、どこかの商業WEBサイトで「株式会社はてな」のユニークさが取り上げられていて、何て面白い会社なんだ!と思った。
本書は社長である近藤淳也がはてなを貫くポリシーがどうして生まれたのかを語っているけど、この人はホントに面白い人だ。ユーザーの意見の取り入れ方や自分たちの方針をオープンにするあたりは自分もとても共感できた。
インターネットに限らず客と絡む仕事をしている人は、読むと何かしらの感銘を受けると思う。

梅田望夫「ウェブ進化論」
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最近のベストセラーだそうな。
僕にとってベストセラーであることは読む際にとくにネガティブなことではない。ただ、この手のweb本って昔は読んでワクワクしたものだけど、さすがにもういいか、という気持ちがあって気になってはいたものの、あえて避けていた。
と思っていたら著者である梅田望夫氏が上に紹介した「「へんな会社」のつくり方」で解説を書いていて、その文がなかなか面白かったので、では本書を読んでみるかということになった(梅田望夫は会社側から乞われて株式会社はてなの取締役になってるそうな)。

僕は漠然と「従来の手書きwebとblogは技術以上に大きく違うものだ」と感じていたけど、その考えに明確に輪郭をあたえてくれそうな予感があって、読んでみたらまさにその通りだった。

googleの素晴らしさが延々と書かれていてもういいよ、って気にもなるんだけど、ここまで明確に、そして簡単に「googleが何をしたいのか」をまとめられているのは面白い。同じく「はてな」に関しても少しだけ触れられているけど、同様にそのユニークな部分を書き出している。

あとキャッチーなキーワードとして「ロングテール」が取り上げられている。これは「どうして僕の好きなレコード(本でもいい)が置いてあるレコード屋(本屋でもいい)は少ないんだろう」という悩みが、ネットにおいてはビジネスとして成り立つゆえ解決できる、ということだろう。喜ばしいことである、っていうかすでにamazonにおいてそれはかなり解決されているのだけども、リアルとネットではビジネスのやり方もまったく異なるから現実のメタファーでネットを理解しようとしても難しい、というのは確かにそうだと思う。

WEB2.0という言葉に惑わされたくないならば、読んでもいいのでは。それにしてもこういう本がベストセラー、ってWEB好きな人以外に一体どういう人が買ってるんだろう?ビジネスマンが読むのか?

岩井俊雄「いわいさんちへようこそ!」(紀伊國屋書店)
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以前見に行った岩井俊雄制作のNintendoDSソフト「エレクトロプランクトン」の展覧会で、彼が娘に作ってあげた手作りのおもちゃが展示されていてそれがどの展示物よりもインパクトがあったんだけど、それらを一冊の本にまとめたのが本書。
娘のロカちゃんが岩井さんに似てるんだけどかわいらしい(←「だけど」が失礼)。

子供にこういったものを作ってあげることを決して押しつけたりしないで、でも子供と接する際にポリシーを持つべき、という岩井さんの主張が伝わってきて耳が痛いっす。
ちなみにうちで流行ってるこの手のことは、いろんなシールや絵をマグネットシートに貼りつけて切り抜いて冷蔵庫に貼ること。なんか楽しい。


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