2010年12月4日土曜日

1997年はやはり何かをもってた。

Fantasma
CORNELIUS
B00410QBQW

「CORNELIUS/FANTASMA」というアルバムは、自分のiTunesライブラリには入っているもののCDは持っていなくて、
BOOKOFFなんかで500円以下で売られているのを見て「う~ん、買ってもいいけど、でもなぁ」というぐらいの作品であった、僕にとっては。
初回盤の無駄なCDの厚さ(特典のイヤフォンが入っていた)も敬遠した理由の一つだった。

フリッパーズ・ギターファンだった自分は、コーネリアスに関しては1st、2ndと買ってきていたんだけど、2ndあたりからの、いわゆるデス渋谷系への接近とか、音数が多くてワチャワチャした感じが好みではなく、この3rd「FANTASMA」はレンタルで済ませていたし、実際あまり聴くことはなかった。
1st、2ndも、もう手元にはない。

ゆえに名盤4th「POINT」は友人に薦められて半信半疑に聴いてみて、その「聴いたことがないサウンド・感触」に驚いてあわてて買いに行ったのだった。
あんなに「化ける」と思わなかったし、ましてやYMOと競演するなど想像できなかった。

そんな「FANTASMA」、今回砂原良徳リマスターということで、それでも貯まっていたポイントを使って手に入れたんだけど、一番興味深かったのが、このアルバムが1997年の作品だということだった。

以前、1997年という年がリスナーの僕にとっていかに面白い年だったか、という話を書いたけど、最近改めて聴いて今更ながら名盤だなぁ、と思ってAmazonマーケットプレイスで美品を手に入れた「電気グルーヴ/A(エース)」もこの年の作品で、やっぱりなにかのピークだったんだなという思いを強くした。

以前まとめたものに付け加えて書くと、1997年の前後はこんな感じ。

1996.6.21 Pizzicato Five/(mini album) 宇宙組曲

1997.2.11 Sweet Robots Against The Machine
1997.5.14 電気グルーヴ/A(エース)
1997.5.25 Tei Towa/Sound Museum
1997.6.21 Pizzicato Five/HAPPY END OF THE WORLD
1997.9.10 CORNELIUS/FANTASMA
1997.10.10 Fantastic Plastic Machine/1st

1998.3.31 砂原良徳/TOKYO UNDERGROUND AIRPORT
1998.5.21 砂原良徳/TAKEOFF AND LANDING
1998.9.10 Fantastic Plastic Machine/2nd
1998.11.11 砂原良徳/The Sound of '70s

1997年については、今回のリマスターを受けて特集を組んだミュージックマガジンなんかが検証していたけど、やや洋楽観点だったのが残念。
簡単にいうと、この年はいわゆる渋谷系的な音楽文化の総決算年だったんだと思う。

テイ・トウワ、電気グルーヴ、CORNELIUSらがそれぞれ重要アルバムを出していて、FPMがデビュー、Pizzicato Fiveはやや勢いがなかったけど、それでもアルバムを出している、という今考えるとかなり贅沢なラインナップで、当時は「こういう感じ」がずっと続くと思ってた。

ところが、やっぱり続かなかったんだよなぁ……。
僕もこの年をピークにして徐々にレコードを買わなくなっていくんだけど、CDの生産量は1998年をピークに下がっていったそうな。

��

そのことについても書かれた本をタイムリーに読んで、大変面白かった。
未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)
津田 大介 牧村 憲一
4121503708

第二章の、日本のレーベル史は、本論と少し違うけど「レーベルとはなんぞ?」という問いへの答えとして、日本の音楽史としても必読。フリッパーズやトラットリアのディレクターだった牧村憲一氏ってどんな人だったのか興味があったけど、彼の仕事史にもなっている。

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