2005年9月25日日曜日

「オタクvsサブカル!」ほか

もう1ヶ月前になるけど、僕もこの本を読んだ。
ユリイカ 2005年8月増刊号 総特集 オタクvsサブカル! 1991-2005ポップカルチャー全史
加野瀬 未友 ばるぼら
4791701372
率直に言って面白かった。タイトルの「オタクvsサブカル!」がうまいなぁ。誰しもが「そんな対立軸ってあるのか?」っといきり立ちながら手にとってしまうという。


それにしても、今の僕はいわゆる萌えを中心としたような「オタク」カルチャーはかなり引いちゃってる。でも、10年ぐらい前は「エヴァンゲリオン」にハマったりしてたわけだし、ガンプラだって守備範囲だった。
だからこの本を読んでふと考えてしまったのだ、僕はいつの間にオタクが嫌いになっちゃったんだろう、と?
よくよく考えてみると、最近の男性オタク文化というのがどうも美少女というかキャラクターを中心にまわっているところに違和感を感じてるみたい。端的にいって、僕にとってそれがグラビアアイドルだろうがアニメのキャラだろうが、そういった女の子を愛でることが趣味とはとても思えないのだ。もちろん、そういうことが気持ち悪いというのもあるんだけど、それ以上に「そんなのが趣味なのか?」という疑問があるんだと思う。
「女の子が好きです」ってことが趣味だ、といわれる違和感というのはたとえば、「おいしいものを食べるのが趣味です」とか「服を買うのが趣味です」なんて言われた時の違和感に近い。たぶん僕にとって趣味性の高さと生きることに必要なことからの遠さ、というのは比例するんだと思う。
もちろんそれはそれぞれの趣味だから別にいいんだけど、この本の中でもちらりと触れられているけど「サブカルは女の子と仲良くしてる、オレたちと違う!」というのは筋違いなわけで、たまたま話せる話題があるから話してるだけ。それは自分がそうだったからとてもよく分かる(もちろん、そこから恋愛に発展しちゃうこともあるんだろうけど少数だと思う)。
そういう点でいうとキャラクターを愛でる「オタク」の男女だとなかなか接点できないだろうし、その辺が「サブカル」への変な敵対意識を生むのかなぁとも思った。
「サブカルは気取っていて自らの性癖みたいなものを表に出さないから卑怯だ」と言うのはあるのかもしれないけど、実はそれが趣味の中心部分じゃないので出す必要がないといった方が正しいのかもしれない。
この本で何人もの人が書いてるけどしょせんオタク・サブカル両者とも「文化系」じゃん、と思わなくもないけど。
……なんていろんなことを考えさせられた一冊だった。
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あとは最近読んだ本をざっと。
「伊丹十三/再び女たちよ!」(新潮社)
「女たちよ!」がけっこう面白かったので、また一冊読んでみた。これは最初の奥さんと離婚して宮本信子と結婚した辺りに書かれたそうだけど、かなり内容がまろやかになっていて、「女たちよ!」にあった鼻につく部分がずいぶん少なくなっていた。
「細野晴臣/細野晴臣インタビューTHE ENDLESS TALKING」(平凡社ライブラリー)
1992年に出た本の文庫化。
細野さんのアルバムはいつの間にかけっこう持ってたり、なんだかんだで本もけっこう読んだりしてるんだけど、この本はかなり面白かった。
細野晴臣という、演奏家としての顔、作曲家としての顔、プロデューサーとしての顔、といろいろ持っている人だけにその葛藤がよく分かる。インタビュアーの北中正和氏も丁寧に話を聞きだしていい仕事をしている。
「村上春樹/風の歌を聴け」(講談社文庫)
「BANANA FISH」を読んだら村上春樹の小説を読みたくなって(たぶんサリンジャーからの安易な連想だと思う……)、でも文庫になった未読の「海辺のカフカ」とかはどうも読む気がしなくて、デビュー長編のこれが新装版で出てたなぁと思って再読。再読、といっても読んだのは高校生の頃だからもう15年ぐらい前。
うーん、いつもうまく言えないんだけど、村上春樹の本を読むと「何か」を感じる。けれどそれが一言ではいえないようなものなんだなぁ。ゆえにこの作家はすごいと思うんだけど。
あとやっぱり洒落てるなぁと思った。といっても、「オシャレ」という言葉を越えているというか、「キザ」でもないし、「センスがいい」でもないし、いちいちかっこいいのだ、隙がないぐらいに。小道具や舞台にする街なんかも現実にありそうなのに、きっとどこにもない「村上春樹ワールド」の一つになっていて、それはやっぱり作家の力なんだろう。
あと下手すると現実味のない内容になりがちかもしれないのに、妙なリアリティがあって、その辺も支持される理由なんじゃないかなぁ。たとえばこの本に出てくるデレク・ハートフィールドがまさにそう。
次は未読の「中国行きのスロウ・ボート」を読む予定。初期の頃の作品の装丁が、これまたいちいちいいんだよなぁ……。

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