2005年8月25日木曜日

「二十四の瞳」ほか

両親が教職関係者であるせいか、「二十四の瞳」はやたらと子供に薦めてくるのであって、読み聞かせで幼年版を、映画館で白黒(今思うとかの有名な木下恵介監督・高峰秀子主演バージョン)のを見て、学校ではカラー版の田中裕子主演版映画を観せられた。

というわけで、正直「二十四の瞳」ってタイトルはかなりウンザリなんだけど、何を血迷ったかピンとくるものがあって初めて原作をちゃんと読んでみた。


これが、予想外に面白い。
もちろんエンタティンメントとしてでもなく、文学としてでもなく、ただただ小説として面白いのだ。
そして、泣ける。それは決して戦争・貧困といった、自分ももはや辟易するお涙ちょうだい部分ではなくて、主人公・大石や子供たちの細かな心情にグッとくるのだ。本当に通勤中に読んでたらウルウルきてあわてて本を閉じる、という場面がいくつもあった(逆に後半はそんなでもなかった)。
なんといっても壺井栄のリズミカルな文章がいい。
かなりウェットな内容だけどそれを乗り越えようとする軽やかな力を感じる。そして、その力のせつなさが涙を誘う。ユーモアを忘れないところも救われている原因だ。
さて、子供の頃とやや印象が違っていた点がいくつか。
・大石先生が子供たちと交流するのは意外と短かったこと。
・生徒の一人・松江が売られていって、修学旅行先で再会するシーンが短かったこと。
これらは映画の構成の印象が強かったからかもしれない。
もはや「二十四の瞳」なんてベタの極北なんだろうけど、ベタでもオリジナルってのはやっぱりパワーあるなぁと思い知らされた。
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「チップス先生〜」とか学校ものがマイブームなのか、
「ケストナー/飛ぶ教室」(講談社文庫)
を読了。うーん、しかしいまいちだった。ってか、やっぱり海外文学は肌に合わない。
主人公がマルティンに、マチウスに(愛称マッツ)、ウリーって名前分かんなくなるだろ。ヨナタンのあだながジョニーってのも日本人には分かりません。2人いるのかと思って勝手に叙述トリックになってた。
あとは図書館で借りた
「高平哲郎/植草さんについて知っていることを話そう」(晶文社)
も読了。対談相手は面白い人が多かったけど、高平哲郎はやっぱり好きじゃないや。
一つ面白かったのが
1908年生まれ
中島敦・太宰治・大岡昇平・松本清張
1909年生まれ
植草甚一
だそうで、中島敦と松本清張が同じ歳とはねぇ。いかに中島が早熟&夭逝したかってことだなぁ(←卒論で取り上げただけで偉そう)。

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