2005年8月18日木曜日

「スチームボーイ」感想

スチームボーイ 通常版
大友克洋 鈴木杏 小西真奈美 中村嘉葎雄
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実はこの映画、大友克洋が脚本を書いた「メトロポリス」と並んで制作発表時から楽しみに待っていたのだが、ずるずると公開予定が延期され、一時はまったく情報が途絶えた時期もあった。
その制作難航ぶりと予告映像を見ても全然ピンと来なかったので、レンタル待ち。

そして、やっぱり。
「メトロポリス」の時にも思ったんだけど、大友克洋って別にストーリーテラーじゃないと思う。クレジット的には「スチームボーイ」はちゃんと脚本家が別にいるけど、この人は単にまとまらない脚本をなんとかまとめただけなんじゃないかな?
見た人なら誰でも指摘するだろうけどキモである親子の確執部分はよく分からないし、主人公にも感情移入しにくい。
大友克洋のような巨匠になると現場で誰もダメだしできないだろうから、強烈なプロデューサーがいないとつらそうというのもある。
そもそも、大友克洋はストーリーから作品を作るべき人じゃないはず。インパクトのある絵をストーリーボードとして起こし、それらを話でつなげていくという方法を取る方が彼の映像作家としての才能を十二分に発揮できるのではないだろうか。「AKIRA」ってまさにそんな作品だったと思うんだけど(もっというと「スチームボーイ」の元になった「MEMORIES 大砲の街」なんて話すらないような、それでいて大好きな作品なんだけど)。
たとえばお約束ではあるけど、「主人公の家系がすごい発明の才能がある」っていうならメカニカルな仕組みでできた自宅の描写をするべきだし、主人公がクライマックスで活躍するなら彼の身体能力が優れている部分を描いておくべき。そういう絵的な説明なしにセリフで話を進めていくのがとても苦痛。
そして、肝心の絵の部分も問題。なんというか全体的に「もっさり」しているのだ。たとえば宮崎駿アニメを観たらなんだかんだで必ず得ることができるアニメーションの快感が少ない。メカもCGで動かしているもんだから、細かい部分はよく動いているけど全体的な動きはあまり魅力的にはなってない。
声優に関しては、これも誰しもが思うだろうけど、おじいさん役の中村嘉葎雄はマズ過ぎる。鈴木杏は普通で、小西真奈美はすばらしい。
結論としては「ロケッティア」の方が面白い、ということで(笑)。

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