2007年6月13日水曜日

「馬車は走る」

沢木耕太郎の本は好きでいくつか読んでいるんだけど、どれもスポーツ系のルポばかりで、紀行ものが苦手なのもあり「深夜特急」すら未読。

先日読み終わった「馬車は走る」は手法自体はスポーツ系のルポと似ているんだけど、扱う対象が文化人なのもあって面白かった。また扱っている人が僕が子供の頃になんとなく知っている人だったりするのも、いい距離感だったんだろう。
それぞれ感想ではなく、読んだりそれを機に調べて「へー」と思ったことをメモ。

「帰郷」
趙治勲(ちょう ちくん)
朝鮮出身の碁の名人。彼の故郷への複雑な思いを描く。この人、名前はすごく見たことがあったけど、風貌は全然知らなかった。

「シジフォスの四十日」」
石原慎太郎
いわずと知れた現都知事が、1975年に同じく都知事選に出馬して落選したときのエピソードを中心に。ちなみにこの時、間接的なブレーンとして黒川紀章の名があったのが意外。
この時の演出の中心は劇団四季の浅利慶太だったけど、2007年4月の都知事選の際、ブレーンが佐々淳行だったのは知らなかった。

「帝」
「ミカド」というキャバレーを作った山田泰吉のエピソード。彼の墜ちてなお上を目指すハングリーさがすごい。

「その木戸を」
これが目当てだったんだけど、僕もファンである小椋佳が題材。
なお今回wikipediaを調べていて、4代目いいとも青年隊「半熟隊」の神田利則は彼の甥ということを初めて知った。

「オケラのカーニバル」
手弁当でヨットレースに参加していた多田雄幸
ちなみに多田が参加して4位だった1975年の太平洋横断レースの優勝者として戸塚ヨットスクールの戸塚宏も出てくる。なお、石原慎太郎は「戸塚ヨットスクールを支援する会」を組織している。「戸塚ヨットスクール事件」ってのも、今20歳ぐらいの人は知らないんだろうなぁ。

「奇妙な航海」
先日、ひどくつまらない事件で逮捕されていた三浦和義が題材。「ロス疑惑」ってのも、今20歳ぐらいの(略)。
とはいえこの事件の時、僕も小さかったので、彼の叔母が元女優で日活の映画プロデューサーとして石原裕次郎らを育てた水の江瀧子という有名人だった、というのは全然知らなかった。子供時代の三浦は、石原裕次郎と遊んだりもしていたらしい。
そうでなくても、「劇場型」に話題を集めてしまう彼の性癖が見えて面白かった。

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沢木耕太郎の本では「敗れざる者たち」、「王の闇」もオススメで、とくにボクシングの輪島功一を描いた前者の「ドランカー<酔いどれ>」、後者の「コホーネス<肝っ玉>」を読むと、引退後のユーモラスな姿しか知らない僕を含めた人間なんかは、彼へのまなざしが変わると思う。

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沢木耕太郎とは関係がないんだけど、先日書いた浅草キッドの「お笑い 男の星座2」に出てきた「PRIDE」のプロデューサー百瀬博教に関して、wikipediaを調べたらいろいろと面白いことが書いてあったんだけど、一番えっ!?と思ったのが

立教大学相撲部時代の経験は後に周防正行により「シコふんじゃった。」(本木雅弘主演、1992年公開)として映画化されている。


周防監督も立教大学出身だから繋がったんだろうか。

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