2006年5月8日月曜日

地球のことに飽きたところなので。

木原 善彦「UFOとポストモダン」(平凡社新書)
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この本は最近読んだ新書でもピカイチに面白かった。大プッシュ!

僕は子供の頃オカルト方面がとても恐くて、それゆえなんとかそれがウソであることを証明してくれないか、と思っていたクチなんだけど、いつの間にか自分のまわりからオカルトっぽいことが消えてそんなことすら思わなくなった。
そういうオカルトパワーが壊滅した決定的な出来事が、1999年8月がなにごともなく来てしまい、みんなの中から「ノストラダムスの予言」のトラウマがなくなったことだったんではないか、と僕は思っている。あと、デジカメ時代になって「心霊写真」が激減したように思えるし(カメラの構造的にデジカメは光学的・薬学的エラーが少ないからという意見もあり)。そもそもインターネットでちょいと調べると、オカルトに限らずいろんなことを検証しているサイトがあるわけで、おかしいことを市民レベルで指摘してくれる時代ということも言える。

さて、そんなオカルトの中でもホントに誰ももう信じてないというかお笑いネタにしかならないのがUFOと宇宙人にまつわる話(それらの存在を否定するのではなくて、今まで存在を証明していたとされるものがすべて信じられていない、ということ)。
本書では時代を「空飛ぶ円盤神話(1947-73)」「エイリアン神話(1973-95)」「ポストUFO神話(1995-)」に分けて、それぞれのUFOにまつわる流行り廃りがその当時の世相や流行、サブカルチャーなどと密接に絡んでいることを解き明かす。たとえば「空飛ぶ円盤神話(1947-73)」では神への畏敬と核技術に対する恐怖がベースにある、とか、よくある「政府が隠している」というのは70年代にアメリカ政府の隠蔽スキャンダルが相次いだから、とか。
また「ポストUFO神話(1995-)」というのも面白くて、UFOや宇宙人がさすがに簡単には肯定できない現代においては、ミニマムで目に見えないウィルスやバイオテクノロジー系の噂を信じがちであることが指摘されている。たとえば「環境ホルモン」。本書では取り上げられていないし実際に恐怖なんだろうけど「狂牛病」や「鳥インフルエンザ」。かわいいところで「マイナスイオン」。この手のものが恐怖や信仰の対象となる。なるほど、これも広義の「UFO」である、という考え方は面白い。
つまりUFOというのは「Unidetified」という部分が重要なんだろう。

本書はUFOを信じている人をバカにしたり、その人たちが信じている内容を鼻息荒く否定したりするスタンスは一切なくて(でも冷静に分析して否定しているけど)、この手のテーマの本でも新鮮な構成といえる。学者ゆえに少しだけ哲学・社会学的な話がめんどうくさい部分があるけど、テーマの面白さゆえ特に気にはならない。

でも、このタイトルは売る気ないよなぁ……。「UFOはなぜ見えなくなったか」とかなんとかあるだろうに。もっとも学者である著者がその手のちょっと詐欺っぽいタイトルをよしとしなかったのかもしれないけど、もったいない。

ちなみに僕の世代が子供の頃「宇宙人はいる」と信じてしまった大きな原因のひとつは、学研マンガ「いるいないのひみつ」の捕獲された宇宙人の写真であることはメモしておこう。だって学研マンガだよ?他のシリーズは基本的に学習マンガだから確かなことばかりを載せているのに、この「いるいないのひみつ」だけは暴走してたよなぁ。時代だ。

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「UFOとポストモダン」で紹介されていたこの本も図書館で借りて読んでみた。
トンデモUFO入門
山本 弘 皆神 龍太郎
4896919459

UFO版「妖怪馬鹿」をめざした鼎談集だそうだけども、UFOに関する基本的な知識が得られるようになっている。僕は「と学会」ってあまり好きじゃないんだけど、この本はまぁまぁ面白かった。その辺はやっぱり彼ら自身もUFOが好きだからなんだろうなぁ。
ここで紹介されていた2本の映画を観て、一応マイUFOブームは終わり。
プロフェシー デラックス・ コレクターズ・エディション
リチャード・ギア マーク・ペリントン ローラ・リネイ
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僕は知らなかったんだけど、UMAの世界でも有名なモスマン事件を題材にしたサスペンス映画。監督が「隣人は静かに笑う」の人なので、常時不安にさせるような演出はよかった。とくにオチがない話なんだけど、嫌いではなかった。
指摘されているけど、プロットが「サイン」とかなり似ていて、比べると「サイン」の方がよくできているのでちょっと気の毒。
原作は一応ノンフィクションのこれ。
プロフェシー
ジョン・A. キール John A. Keel 南山 宏
4789719294

買って読んでみたけど、途中で投げた。やっぱり僕はこういう現象について本気で書かれていたりするのはダメみたい。
もう一つは、子供の頃見て、すごいつまんなかったイメージがあったこれ。
未知との遭遇 ファイナル・カット版
リチャード・ドレイファス スティーブン・スピルバーグ フランソワ・トリュフォー
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見たのはファイナルカット版ではないです。
この映画は、先の本によると、UFOに関する都市伝説的なものをとにかく入れ込んであるそうだけど、確かに前半はかなり面白かった。主人公のオヤジがおかしくなっていくところなんかもとてもいい。
けども、がっかりなのが実際のUFO〜宇宙人登場。なんだこりゃ。こんな宇宙人は見たくない!UFOとの交信もなんかマヌケだし。妙に地球側が友好的な存在にしたがっているのも変。だってアブダクションしてたじゃん。
あと、その主人公のオヤジがなぜ最後にああいう行動をとったのかもかなり謎。
これなら「プロフェシー」の方が面白いと思った。

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