2009年10月11日日曜日

カントク、といえばこの人だった

今、二十歳ぐらいの子にとって、「スピルバーグ」という言葉はどのように感じるのだろう?

僕の子供の頃「スピルバーグ」といえば、独特な高揚感を与えてくれる言葉だった。
たとえば今でいうと「宮崎駿」という言葉に近い、といえば分かってもらえるだろうか。

子供だったので「ジョーズ」ではなく、「E.T.」でガツンとやられたんだけど、その後から80年代においては、彼自身の監督作品はもちろん、製作総指揮の冠がついたプロデュース映画もブランドだった。

E.T. The Extra-Terrestrial 20周年アニバーサリー特別版 [DVD]
B00005R22Y


製作総指揮の作品には「グレムリン」「グーニーズ」「インナー・スペース」といったSF・冒険もの、子供心にやや格が落ちた「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」「世にも不思議なアメージング・ストーリー」「ニューヨーク東8番街の奇跡」「マネー・ピット」、そしてなんといっても「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズなんかがある。。
映画にそれほどくわしくない人は今でもこれらのいくつかはスピルバーグ自身が監督したと思っているんじゃないかな。

自分にとってブランドだったスピルバーグだけど、ある時期からパッタリと興味がなくなった。

劇場で観たのは「ジュラシックパーク」が最後だけど、最後ヘリコプターで逃げるシーンで「ここでプテラノドンが襲ってくるに違いない!」と思ってたのにそのままエンドロールになって、「あれ、なんかあんまり面白くなかったかも……」と思ったのを覚えている。
思えばここが僕の中で1つの区切りだったんだなぁ。

��

このところNHK-BS2で彼の特集をやっていて、10/7には「映像の魔術師 スピルバーグ自作を語る」というインタビューを放映していたけど、これがかなり面白かった。

話題にあがった作品は「刑事コロンボ/構想の死角」「激突!」「続・激突! カージャック」「ジョーズ」「未知との遭遇」「1941」「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」「E.T.」「カラー・パープル」 「太陽の帝国」「ジュラシック・パーク」「シンドラーのリスト」「アミスタッド」「プライベート・ライアン」「A.I.」「マイノリティ・リポート」「ターミナル」「宇宙戦争」「ミュンヘン」。

彼には若い頃から映画をコントロールするイメージが明確にあって、早いうちにそのコントロールが完全にできる権利を手中に収めようとしていたが、「ジョーズ」によりそれに成功する。
でも「1941」で大失敗して、非常にいろいろなことを学んだという。
「ジュラシックパーク」に関しては、恐竜がただ出てくるだけではダメで、車とか室内とか普段僕らが見てるものと一緒に恐竜が出てくるから面白いのだ、と語っていて、なるほどなぁと思った。

インタビューを通して思ったのは、この人は根っからの演出家なんだなぁ、ということ。映像を使って何かを伝える、ということに関してまったく困難を感じさせない。
たとえば、石ノ森章太郎のマンガを読んで「この人は絵を描くことに関しては全く苦労がないんだろうなぁ」という感想を抱いてしまうのに似ている。
2人とも仕事が早くて、でもあまり物語の筋を作るのが得意じゃない、というところも似てる気がする。

またオモシロエピソードとしては、「スターウォーズ」を撮った直後のルーカスが「未知との遭遇」を撮影しているスピルバーグのもとへ遊びに来て、自分の「スターウォーズ」は子供向けになってがっかりだ、君の「未知との遭遇」僕が撮りたかったような作品だ、素晴らしい。もしよかったらお互いのこれらの作品の印税2.5%を交換しないか?と持ちかけたという。
その話にのったスピルバーグはいまだに儲けが入ってくるそうな。
すごいなぁ。

一番印象的だったのは、話しているスピルバーグが非常に楽しそうであること。いろいろ吹っ切れた人が持てる優しさを感じた。

0 件のコメント:

コメントを投稿