
単行本、文庫本など現在も手に入るこの作品を、映画の宣伝とはいえ出すのはなぜ?と思ったら、このバージョンは月刊コロコロコミック昭和55年1月号〜3月号に連載された初出版とほぼ同じものだという。
くわしくはこちらのblogで。
なんとページ数は、てんとう虫コミックス版が186ページに対してこちらは150ページというから、藤子F不二雄先生は大幅に書き足しをしたんだなぁ。単行本にする際に書き足すという話は聞いたことがあったけど、実際どんなふうに足しているのか確かめたことはなかったのでいい機会と思い購入してみた。
普通に読んだ限り、「あ、このシーン・セリフがないな」とか「ここがやや短すぎる」といった部分は多少あったけど、ほぼ同じではないかと思った。でも36ページも差があるなんて?
そこでそれぞれを同時に読んでみると、てんとう虫コミックス版はいわゆる「ディレクターズカット」になっているのが分かる。コマとコマの間にエピソードやアクションが書き足されていて映画でいうカットが増えているのだ。大幅にエピソードを書き足し、というわけではないから普通に読んだ限りはあまり区別がつかない。
たとえばこんな感じ。
初出に近いぴっかぴかコミックスカラー版
てんとう虫コミックス版
このような書き足しが、とくに短編版「のび太の恐竜」(てんとう虫コミックス10巻収録)の部分にはかなり多くされている。
逆に面白いのが、先のblogでも触れられていたけど、初出版では大富豪ドルマンスタインは母艦で移動している設定になっていてそのカットが3カ所ぐらいあるのだけど、単行本ではカット。

これが母艦。

てんとう虫コミックスでは母艦ではなく直接基地から小型艇が出動している設定に変わっている。

てんとう虫コミックスでは見上げているカットは同じだけど、見上げているものが変更されている。
しかしラストのあっさり感は最初から変わってない(笑)。けど、最後のページはけっこう泣けるなぁ。ピー助とボール遊びをするシーンのコマ数が増えているので、よりバレーボールが持つ意味に説得力が増している。
小学3年生でそんなことをしているす一さんもすごいと思います(笑)。
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