2005年12月11日日曜日

「ワンダと巨像」クリア

やっと終わりました、「ワンダと巨像」。
ワンダと巨像
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主に休日プレイだったけど、1体約1時間、計16時間、リトライ含めて20時間ぐらいの濃密なゲーム体験ができた。特に中盤までは巨像を倒すたびにいちいち「このゲーム、面白いなぁ」と何度も口に出してしまったぐらい。

同チームの前作「ICO」が業界・ゲームファンの間で評価が高かったけど、個人的にはパズル要素が嫌いなため奥様が横でプレイしていたのをチラチラ眺めるだけだった(奥様は珍しくクリア)。
今回の作品は、巨人と戦う際にかなり爽快感があって、パズル要素もそれほど強くないからとっつきはよかった。

僕がこのゲームで一番いいなぁと思ったのは、「映画みたい」といわれているわりに実はかなりデジタルっぽい作りをしていたところだ。というのもたとえば、

・握力ゲージが0にならない限り、どれだけ絵的にヤバそうでも絶対にはがされない。
・登れるところと登れないところはかなりハッキリ描き分けられている。

とか、ゲーム部分がとてもシンプル。でもそこに現代的なリアルタイムCG演出が加わることで自分がすごいことをやっているように感じることができる。
もちろん基本となる、動く地形につかんで登っていく、って部分があってこそなんだろうけど。

また、その豊穣な世界観をセリフや設定の説明じゃなくて、演出や雰囲気で語ろうとしていて、またそれに成功しているのがすばらしい。
自分も仕事でリアルタイムムービーを作ることがあるけど、このゲームのそれは全然レベルが違うなぁ。レベルというかセンスというか……。何度も見てみたい(けど見るのが難しい)。

音楽も素晴らしい。
平成ガメラの大谷幸が担当しているんだけど、思わずサントラを買ってしまった。いや、曲のよさだけじゃなくて、ふだんフィールドをさまよっている時は音楽はならないんだけど、いざボスと対峙するとどこか哀しげな・しかし勇ましい音楽がなり始め、より戦いが進むとまた音楽が変わる、ってな設計が素晴らしかった。個人的にずっと音楽が鳴り続けてるゲームってあまり好きではないので。

……と褒めてばっかりだけど、本当に面白かったし、ゲーム制作を仕事としている人間としても刺激を受けたのは事実。


どうしようかと迷っている人はぜひやってみたらいいと思う。
そんな今からやろうとしている人へいくつかアドバイス。
・説明書をきちんと読んでワンダの基本的な動かし方を覚える。一度覚えると大丈夫だけど、ちゃんと知らないと詰まることがあると思う。
・弓は意外と使います。とくに巨像を挑発する際には。
・トカゲ狩りとかのレベル上げ的な行動はやらなくておクリアできる。
・一度巨像と対面してから違うルート(巨像から離れるので音楽が鳴らなくなる)で回り込まなくてはならない、って攻略はないです。必ずそのマップ内で倒せます。
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さて、最近自分の中でもテーマだったんだけど、面白いルールを作っただけではプレイヤーは飽きてしまう、ということに関して。
トランプとかは素晴らしいルールを持っているけど、基本的に代わり映えしないのでそう何度もやれない(あれは対戦相手が変わることが飽きないことにつながってるんだろうけど)。
そんなの当たり前で、たとえばゴルフやレースゲームならコースを加えたり、RPGならレベルがあがり使える技や魔法が増えていくことで飽きさせないようにしている。
それらは「ルールの上にのっけるデータ部分」と言える。
そこで思うのが、ルールを作る際に「上にのっけるデータ」をのせやすいような設計になっているかどうか、って部分まで考えておかないとダメだ、ということ。
「ワンダ……」の場合は剣をかざして敵を見つけだし、つかまって急所を探し突く、というルールがあって、その上に様々なタイプの巨像データをのっけている。そこから考えると、レベル上げの要素もないこのルールでは「16体」というのはとてもいい数値だと思う。たぶん、それ以上はデータのアイディアを出すのは難しいし、出たとしても他の巨像の焼き直しになり、それならいっそない方がいい。
では、そのデータ部分である巨像の感想を一体一体書いておこう。ネタバレあります。
★は5が最高点です。
1.★★★★★
オーソドックスだけど、最初のせいもあって一番巨大感を感じた。
学校の帰り道に向こうから来たヤンキーににらまれる戦慄!
ダメージをくらっても回復をマメにやれば大丈夫。
剣を持っていないと弱点が光らないことは覚えておいた方がいいです。
2.★★★★
四つ足。
ちゃんと考えないと倒せないけど、実は他人がこの巨像と戦っているのを見ちゃってた(&それがあまりにもすごかったので購入を決意)ので、とくに迷わなかった。
ヒントは「光っているところが弱点」、ってことか。
3.★★★(攻略サイト見た)
もちつきハンマー。
巨像がいる場所に行くまでのマップアクション部分がすごいうざったかった。失敗した際のリトライはもうちょっと楽にさせてくれてもよかったんじゃないか。
巨像戦は攻略サイト見ちゃいました。天の声のヒントがやや分かりにくい。
あそこは足で踏ませればいいのかと思ったら、もちつき攻撃をあてないとダメなんですな。
あと、設定的になぜあそこを壊すとああなるのかよく分かりません。
4.★★★
かくれんぼ。
自分がすぐに倒せたせいでこいつのことを思い出すのに時間がかかった(笑)。
あからさまに何かに使いそうなマップ構造になっているのがご愛敬。いや、でも後半にいくとあやしいだけで全然関係ないマップオブジェクトがあったりもするので注意。
5.★★★★(攻略サイト見た)
空中戦。
最初、どうやってつかまればいいのか分からず一所懸命高台を探すが見つからず(この手の勘違いは最後までやってしまっていた)。
つかまればあとはいつも通り。
6.★★★★
室内戦。
巨像が入れない場所に入ってのぞき込んだところを……というパターン。
よく昔の東映アニメなんかにありそうな巨人との戦い方で、仕掛けは単純だけど気分的に面白かった。
7.★★★★★
水中戦。
潜水艦との戦いのような。
8.★★★★
タワーによじのぼるタイプ。
ここで初めて戦闘不能→リトライに。強烈な光の毒みたいなのを放ってきてキツかった。
やり方が分かると、あとはいかに迅速に下りるかがカギ。
やはり「光っているところが弱点」、です。
9.★★★(攻略サイト見た)
温泉。
ネタは分かったんだけど、どう巨像を誘導するか分からなかった。
なんてことはない、誘導の基本=弓でした。
こいつも遠隔攻撃がキツめ。多少はダメージ食らうことを覚悟した方がいいかも。
10.★★★(攻略サイト見た)
もぐら。
アグロに乗って戦うんだけど、弓をかまえるのとアグロを進ませるのを同時にやるにはどうやればいいんだ?と悩んだら、アグロは×ボタン押さなくても勝手に走り回るんですね。ここの操作はフィールドとルールが違っていてちょっとイヤだった。それが分かればあとは7番目の水中戦のような戦い方で。
11.★★(数度戦闘不能)
素早いイノシシ。
何度も戦闘不能→リトライをした。というのもこいつ、ハメてくるんすよ。失神→起きあがったところをガツン→失神。これのループが何回か。あとワンダが違う道具を持つのはここだけなので、それもイヤだった。
12.★(1度戦闘不能、攻略サイト見た)
頭ぼこん。
ちなみにこのマップは以前別の巨像がここにいると思ってやってきて水に流され戦闘不能になった場所だった(笑)。
しかし、こいつは最悪。「高いところにのぼれ」というからマップの高いところをがんばって探すけどどうしてもよじ登れない。どう考えても分からないので攻略サイトを見た。
……こんなの分かるわけねーじゃん!!この攻略法は個人的にはナシだと思った。あと、天の声のヒントもちょっとどうかと。マップにいかにも関係ありそうな高い場所を作らない方がよかった気も。
9、10、11、12とどんどん自分が好きじゃない方向へ向かっていくので懸念したけど……。
13.★★★★
トンボ。
これは面白かった。5・10の複合技なんだけど、この方向性でいいと思う。
ボヨンボヨンしたところが虫っぽくてかなりキモチワルイのが素晴らしい。
14.★★
体当たり。
ちょっとやらされ感が強かったかも。
あと、一度にやっつけようとせずに適度にやり直した方が早かったです。
15.★★★(1度戦闘不能、攻略サイト見た)
高いところから頭に乗っかるタイプ。
巨像がドシン!って足踏みをすると足場がバコッと斜めになるからそれを利用してよじのぼる、ってのはちょっとどうかなぁ。それならば真ん中あたりにそういう板を用意してその習性を描いてほしかった。
しかし、こうして見ると意外とこういう高いところからしがみつくパターンって少ないなぁ。
16.★★★★(マップ仕掛けで戦闘不能、攻略サイト見た)
マップ固定ジオング。
さすがにラスボス、集大成という感じ。とはいうものの、やや力押しな感じも否めず。
エンディングは「ICO」をあまり知らないから衝撃とかなかったけど、それでもよかった。ホントに詩情あふれてて。意味はよく分からないけど、ワンダの行為は報われた気がした。
このゲームってたとえば投げ出すのもゲーム内ストーリーの選択肢の一つのような気がした。「もういいや、女の子が助からなくても」という。だってそもそも禁忌を犯しているんだし。でもなぜかちゃんとワンダの「戦わなくちゃ」という気持ちを共有できるから不思議だよなぁ。

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