2010年9月27日月曜日

編集の本2010.9

何冊か編集者関連の本を読んだので、まとめてメモ。

popeye物語―若者を変えた伝説の雑誌 (新潮文庫)
椎根 和
4101288828


popeye創刊時の編集者だった椎根氏によるpopeyeが伝説だった時代の回想録。ところどころ著者の視点がちょっとイヤな感じがするのが鼻につくけどそこをガマンすればやはり新しいものが生まれるときの熱気がつまっていてグイグイ読ませる。
「ニューロマンサー」を訳した故・黒丸尚氏は、電通で働くかたわらペンネーム「LEO」としてSFを中心としたライターをしていたというエピソードは、彼の天才性を十二分に感じさせる。

最近ブルータスが2010年6月1日号で「ポップカルチャーの教科書」として、自身を時代のカルチャー、サブカルチャーとともに回想していて面白かったので、あわせて読むといいかも。

編集者の時代 雑誌作りはスポーツだ (マガジンハウス文庫)
マガジンハウス
4838770391


タイトルからは分からないけど、popeye木滑編集長の編集後記を集めた本。そんなもん面白いの?と実は僕も思ったんだけど、読み始めたらこれが意外と面白い。
まず当時の状況が生々しく分かるからで、たとえばスターウォーズの噂が聞こえてきて実際に目にしてこりゃすごいと驚く様とか、のちの携帯電話を予見していたり、今から見ると当たり前のものが当時は影も形もなかったことに気づかされて面白い。
また、popeyeという雑誌は絶えず読者に話しかけていくような作りになっていたと思うけども、それがこの編集後記に色濃く出ているからだと思う。キャッチフレーズは「Come join us!」だもの。

なお、今、本屋でpopeyeを開いても全く別の雑誌なのでご注意。個人的には扱っている内容的には「Lightning」が当時のpopeyeぽいのかなぁと思ったり。ただ、当時新しかった部分は現在、「雑誌」と言うジャンルは担っていないんじゃないかな。

ビッグコミック創刊物語―ナマズの意地
滝田 誠一郎
4833418983


講談社のマガジン系に関しては回想録や語られることが多かったけど、サンデー系は少なく、ビッグコミックに関してはなおのことのように感じる。
本書はビッグコミックというより、同誌や伝説の雑誌「ボーイズライフ」、そしてレコパル系の雑誌を創刊した小西湧之介の評伝といってもよい。
面白いのは、ビッグコミックはマンガ誌としてではなく文芸誌~中間小説誌に近いイメージで作られていたこと。そこがそれまでの青年誌とは一線を画しているんだけど、それが最初に実現できたのも小西氏のパワーと小学館という出版社の体質にあることが分かる。講談社ですら青年誌を出すのが相当あとになってしまったぐらい、そのコンセプトは画期的だったのだ。
雑誌ファン、マンガファンは読んでおいてよい本。


アニメックの頃…―編集長(ま)奮闘記
小牧 雅伸
4757142161


解説の氷川竜介の言葉を借りると
「伝説の雑誌」と呼ばれる『アニメック』を立ち上げた編集長・小牧雅伸自身の手で、その勃興期の様相について綴られた回想録
が本書。ミニコミを作っていた学生だった小牧氏がアニメ雑誌を作ることになり、試行錯誤していく姿は編集モノ好き、立ち上げモノ好きの自分にはたいそう面白く読めた。途中からはまだテレビ放映時でマイナーだった「機動戦士ガンダム」にまつわるエピソードも多く語られて貴重。
それにしてもweb連載というのもあるのかもしれないけど、この著者は文章がちょっと……。アニメック自体も誤植が多かったそうだけど、ところどころ文章が読みにくい上に、意味が通じてない部分もチラホラ。解説の氷川竜介のしっかりした文章を読んだらほっとしたぐらいだ。そんな小牧氏だからこそノリで雑誌を作ってそれが熱意が読者に伝わったのかもしれないが……。
途中から副編集長として現・角川書店社長の井上伸一郎氏についても語られていて面白い。やはり社長になるような人は若い頃からしっかりしてるんだなぁ……。けど根は変態っぽいが。

0 件のコメント:

コメントを投稿