松田聖子と中森明菜 (幻冬舎新書 な 1-2)
中川 右介

この手の本で、社会学者が書いたような本が一番つまらないんだけど、こちらはそうではない。
なにしろ、この著者である中川右介氏の「ブームはどう始まりどう終わるのか」は2004年の個人ベスト本だったので、内容は大丈夫だろうとは思っていた。
それがうれしいことに自分の予想以上の面白さで、タイトルこそ「松田聖子と中森明菜」だけど、内容的には松田聖子を軸とした80年代芸能歌謡史を扱っていて、筆を山口百恵から始めているのも自分にとってタイムリーすぎ。
でもここから始めないとなぜあそこまで松田聖子が時代に受け入れられたかは語れないことが読んでいくと分かる。
「オリコンヒットチャート」よりもTV番組「ベストテン」のデータを重視しているのもよい。この時代はそれでいいはずなのだ。
また松田聖子の重要スタッフであった松本隆にもスポットをあてていて、彼の仕事の批評集にもなっている点もポイント高い。
それに対比して様々な作家が詞を書いた中森明菜という人物にも迫っていたり、歌い手だけではなく彼女らを刺激したり彼女らに刺激されたりした作家陣にもけっこうなページを割いたり、それぞれの陣営のプロデュースの違いなども見せてくれる。
一番面白かったのはそもそも松田聖子はルックスで売れたわけではなく、歌で売れたのだ、という指摘。
確かに当時聖子ちゃんをかわいいと思ったことは一度もなかったけど、歌は大好きだったので、これはとてもよく分かる。
松田聖子が今でもほぼ当時の雰囲気で残り続けられているのは、彼女の歌の中にどうしても入ってしまうスウィートネスにあり、それを松本隆というパティセリーがうまく料理して、その甘さが時代とマッチしたからあれだけ人気があったのかなぁ。
なんにせよ、この本は今後80年代芸能歌謡史を語る際には避けて通れない道しるべ的な本になることは間違いない。
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余談だけど、歌謡番組なんかだと尺のせいかレコードよりもテンポが早いことが多くて、懐かしの番組、とかで聴くことととてもイカすことがある。DJが回転数あげるみたいな。
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明菜って、1st=「少女A」、2nd=「セカンド・ラブ」だと思ってたけど、1st=「スローモーション」、2nd=「少女A」なのね。タイトルに流されてた。
あと、B面だけど「椿姫ジュリアーナ」は名曲だと思う。というか、「飾りじゃないのよ 涙は」から「I MISSED "THE SHOCK"」あたりの明菜は本当にすごかった。
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こちら、Perfumeを表紙にしたかっただけじゃね?とか思わなくもないけど(だって、ニホン語歌特集で彼女たちが表紙はないだろう)
BRUTUS (ブルータス) 2008年 9/1号 [雑誌]

「小西康陽の「私的“阿久悠”考。」はかなり名文。あまりのツンデレ、というかコニタン版「拝啓、ジョン・レノン(真心ブラザーズ)」といえよう。これだけでも歌謡曲ファンなら買いだけど、DJ OZMAとFPM対談で、DJ OZMAが売野雅勇を評価してるのがポイント高い。この人、ホントに面白いなー。逆にFPMは歌謡曲に関しては選曲のセンスが上品すぎて、逆にセンス悪し。
あとは茂山宗彦が「夢芝居」を、ほしよりこが「ビューティフル・ネーム」をフェイバリットにあげててうれしい。
なお、1996 2/1号「歌謡曲'96」を引っ張り出して読んでみたけど、やっぱりBRUTUSは昔の方がパワーあるなぁ。……って自分の感覚が古いだけかもしれんが。
はじめまして。
返信削除82年生まれで、当時まだガキだったので、
かすかな記憶しかないんですが
最近になって中森明菜のみりょくに気づいたところです。
当時は本当にすごかったんですね!
余談ですが、個人的にDESIREの和洋の衣装が
今でも通用するカッコよさなのがすごいな~と思いました。
この本ぜひ買いたいです!
僕は1973年生まれなので10歳近く差があるわけですね。確かに中森明菜は芸能界から干された時期などがあって全盛期と現在の位置に差がありすぎるので、なかなか絶頂期が伝わらないんでしょうね。その辺、田原俊彦も同じです。
返信削除あの頃のすごさはCDでも出ていた「EAST LIVE」なんかのステージでも分かりますので機会があればぜひ。
「DESIRE」の衣装は確かに当時先鋭的でした。